居た場所
★★★★★
かつて実習留学生としてやってきた私の妻・小翠(シャオツイ)。表示されない海沿いの街の地図を片手に、私と彼女の旅が始まる。記憶と存在の不確かさを描き出す、第160回芥川賞候補作。
留学生でやって来て気が付いたら家族のピースにぴたっとはまっていた小翠。
でもここにいる彼女は本当のありのままの彼女ではないかもしれない。そんな不安や後ろめたさが彼女の「居た場所」を二人で訪ねる旅に潜んでいる。
読めない看板、見たことのない動物、いつもと違う彼女。吐き出した緑の液体がSFっぽいけどやけにリアル。
ちょっとわけのわからない世界なのに文章が美しく簡潔なのが面白い。これからも読んでいきたい作家さんだな。