りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家蝠丸独演会

3/12(火)、花座で行われた「柳家蝠丸独演会」に行ってきた。
前から花座には行ってみたい!と思っていたんだけど、今回は蝠丸師匠が昼夜で独演会をやるというので、これは!と思い行ってみた。

昼の部
・かけ橋「狸賽」
・蝠丸「宮戸川(上)」
~仲入り~
・蝠丸「文七元結

夜の部
・かけ橋「浮世床(本、将棋、煙管)」
・蝠丸「時そば
~仲入り~
・蝠丸「徂徠豆腐」


昼の部
蝠丸師匠「宮戸川(上)」
長めのまくら。
蝠丸師匠は花座に出るのが初めてなので、楽屋で評判は聞いてますよ~という話をしたり、「レベルをはからせてもらいますよ~」と難しめの?小噺をしたりして、温度を探ってる感じ。
誰でも知ってる昔話は落語にしやすいというところから「桃太郎」のパロディ。前にも何回か聞いていたけどオチを忘れていたのでゲラゲラ笑ってしまった。

そんなまくらから「宮戸川(上)」。
今回せっかく遠征してきたのだからと最前列で見たんだけど間近で見ると普段「ふわっとしている」と思っている蝠丸師匠、しぐさや表情や語りが実はすごく感情豊かだということを再発見。
それでいて時々漫画チックなしぐさや表情、ゆるいクスグリが入るから、見ているこちらもふっと力が抜けて楽しいんだな。
雷のところ、「ピシーー」って漫画っぽく雷が落ちる様子を表現していて、こういうところがかわいくて好きだなー。
終わりもわかっているけどいつも笑っちゃう。楽しかった~。


蝠丸師匠「文七元結
仲入り後は「東京でもめったにやらない噺を」と言って「文七元結」。
長兵衛さんは博打にはまってしまったけれど、粗暴な感じはなく気のいい人物。
角海老に入る時にとてもきちんとしていて、ちょっとはっとした。本当はしっかりした職人なんだろうな。
十両を持って東橋で身投げを止めるところ、ものすごい緊張感でびっくりした。
そうか。やっぱりこういうところから説得力が生まれてくるのだな…。

十両なければ死ぬしかないと言う文七に「親戚はいないのか」とか「少しずつ返すわけにはいかない?5両じゃだめか?」と説得しようとする長兵衛。話している途中で文七がまた身を投げようとするのを止めて「今値切ってるところなんだから」と言うのに笑った。
誰か止めてくれる人がほかにいないかなと橋の向こうをじっと見るのもかわいい。

文七が店に帰って来ないのを心配している旦那と番頭。
旦那には威厳があるし、「硬い」で通っている番頭が文七の話を聞いてすぐに「角海老」とピンとくるのもおかしい。

旦那と長兵衛さんが話をしているところで、江戸っ子の見栄で財布を受け取ろうとしない長兵衛さんの袖をおかみさんが引っ張るところでほんとにビリって音がしたけど大丈夫だったのだろうか(笑)。
旦那に「じゃこれは五十両が出た身祝いということで」と言われてようやく財布を受け取った長兵衛さんが「実はこのことで夕べから寝てねぇんですよ」と言ったのがかわいかった。
見受けされて戻って来た娘がまだあどけなくてちょっと泣けた。


夜の部
蝠丸師匠「時そば
昼の部と同じく長めのまくらから「時そば」。
最初の男のお世辞はわりと短め。それほどくどくない。
二番目の男の食べるお蕎麦のまずそうなこと。汁を飲んで、おえーーっ。うどんはにちゃにちゃ。
その後の展開がさすが蝠丸師匠らしく一味違うのが楽しい!
初めて聴けた蝠丸師匠の「時そば」。うれしい~。


蝠丸師匠「徂徠豆腐」
「情けは人の為ならず」のまくらから「徂徠豆腐」。

大工の棟梁が二十両置いて行ったときのおかみさんの反応がすごくおかしい。
「うちは取られるものなんかなにもねぇじゃねえか」というお豆腐屋さんに「一つあるじゃないか。なんでわからないのかねぇ。ほら…あたし」。
ぶわははは。
立派なお武家様が訪ねてくるからあたしゃそこのお嫁さんにあってお前さんのことは奉公人として雇ってあげるから、というのがおかしい。
そして立派になった徂徠先生が訪ねてきたのを見ておかみさんが「ほらごらん」と張り切るのがおかしい。
火事で焼け出されてなんの希望も持てずにいたところにこんな恩返し。

全部で四席見られて満足。遠征してよかった。