りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

波 (新潮クレスト・ブックス)

 

 

波 (新潮クレスト・ブックス)

波 (新潮クレスト・ブックス)

 

 ★★★★★

あの日から、私の世界は闇に閉ざされた。津波に家族を奪われた女性の魂の記録。2004年のクリスマスの翌日、スリランカの南岸に滞在中の一家を巨大な津波が襲った。息子たちと夫と両親を失った経済学者の妻は絶望の淵に突き落とされる。家族の記憶に苛まれ、やがてその思い出が再起を支えた――マイケル・オンダーチェ、テジ ュ・コールら絶賛の手記。 

スリランカを襲った大津波で夫と二人の息子、両親を失った女性の回想録。

当たり前に続くと思っていた日常が一瞬で失われ「なぜこんな目にあうのか」「何かの罰なのか」という問いと自責の念だけが残る。
何も知りたくない何も思い出したくない一刻も早く彼らのもとに行きたいという状態から、何が起きたのかを知りたい彼らとの日々を実感したいという気持ちになるまで。

こうして書くことがセラピーになったのかもしれないが、なんという喪失…読んでいて辛くて何度も涙した。

自然の前で人間がどれだけ無力であるか。そして私の日常があるのもたまたま運が良かっただけなのだということを思い知る。
読んでいて辛かったが読んでよかったと思う。