りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

立川こしら出版記念/新宿紀伊国屋イベント 第二部

2/20(水)、紀伊国屋書店で行われた「立川こしら出版記念/新宿紀伊国屋イベント 第二部」に行ってきた。


・こしら トーク
・かしめ「ん廻し」
・こしら「干物箱」


こしら師匠 トーク
こしら師匠の書いた「その落語家、住所不定。」の出版イベントということで「今日はどういう話が聞きたい?」とこしら師匠。
手を挙げた男性が「師匠は家のない暮らしをされているっていうことですけどどういう暮らしなのかをもっと詳しく聞きたいです」。
そう言われたこしら師匠。「あのね、あなた会社行って仕事してる?もし会社に通ってるなら家はあった方が便利。なにも家をなくす必要はないよ。俺は東京にあんまりいないのよ。一か月のうち10日ぐらい、東京にいるの。あとは地方に行ったり時には海外に行ったりしていて、そうすると家ってそんなに必要じゃないんじゃね?たった10日のために家賃払うの無駄じゃね?って思ったの。逆に家がないと帰る時間を気にしなくてよかったりオールで付き合えたり、呼ばれたらひょいって地方に気軽に行けたりして、楽なのよ。でもこの本さ、出版社もやたらと”ホームレス”の部分で売りたがっててね、”ホームレス真打”みたいなさ。それでそこに興味が行っちゃってると思うんだけど、俺が言いたかったのは、みんな家を持つのやめようよっていうことじゃなくて、自分の生活を見直して、実はこれはいらなかったんじゃねぇ?ってものを捨ててみたら、っていうことなんだよね」。

地方の仕事に呼ばれたとき。
今みたいな恰好で行ったら「そういう恰好だと田舎の人からは馬鹿にされる。というか信用されない。いいスーツ着て金の時計をしていかにも金を持ってる風にしてみろ」とアドバイスしてきた人がいて、無理してそういう恰好をしてみたら、確かにだんだんお客さんは増えていって会場も広くなってもらえるお金は増えたけど、お客さんがじじばばばかりになってしまった。
そういう人たちは自分の落語を面白がって来てくれてるわけじゃなく、東京からちょっと有名な人が来たと思って見に来た人たち。
その「有名」というのだって、ラジオで売れてた頃に1回だけ出たテレビ番組とかそういうのを経歴に書き連ねてみたり、一度だけ会ったことがあるお笑い芸人とのエピソードを大袈裟に話したりして、下駄をはいただけのこと。
そんなお客さんの前でそういう人たちにウケるような落語をやっても、自分は全然面白くなかった。
お金はもちろん必要だしほしいけど自分が本当に求めているのはそこじゃない。

ラジオ番組を持っていて売れた時に芸能人のやってるシークレットパーティみたいのに呼んでもらった時。
ちょっと無理してブランドのスーツ買ってネックレスとかブレスレットつけたりして行ったんだけど、俺ゲームが好きだからDSも持って行ったのよ。それをブランドの腰袋(腰袋って何度も言ってたけどなに?ウエストポーチ?)に入れて。すげー高い腰袋。それがさ、DS入れた状態で走ったりすると擦れてあっという間にビリビリになっちゃうの。
なんか違うなと思って。
俺、そういう華やかなパーティ行っても全然楽しくないし、それより家でDSやってる方が楽しいし、DS持ち運ぶならおしゃれな腰袋より職人が使ってるような頑丈な腰袋の方が絶対いい。

俺の師匠はテレビも出ていてすげぇ売れてて、だからお客さんでも「早く売れてね」って言ってくる人もいるけど、俺別にそれ求めてない。
こんな格好で落語も全然ちゃんとしてないから俺の会に来るお客さんって変な人ばかりなのよ。でもそういう人たちの前でやるの、すごく楽しい。
だから地方に行く時も、なるたけ若い人を集めてくれって言ってるの。
それで行ってお客さんすげー少なかったりもするけど、そっちの方が面白い。

今日も昼間7時間ここにいてね、悩み相談っていうのをやって、本を買ってもらおうとしたんだけどさ。
それで売れたのたった3冊よ!そんなのサイン会でもなんでもないっつうの!
でも俺はいいのよ。これをまたネタにできるから。
かわいそうなのは出版社の人よ。ずっと付いててさ、3冊だからね売れたの。

チケットが取れない落語家とか講談師とかいるけど、それってたんに会の値段設定を間違ってる。マーケティングに失敗してるだけ。
売れて客が増えてるんだから、もっと値段を上げればいいのよ。そうすれば、ほんとに好きでその人を見たいと思ってる客が来るから。
それをそんな風に思い切って値段を上げないから、「なんか売れてるらしい」「有名らしい」っていう客が大勢来ちゃうの。
そうするとそういう人向けのことをしなきゃいけなくなっちゃう。それで「つまんない」って言われちゃう。

値段は下げればいいってもんじゃない。
俺も相手に「これぐらいしか出せません」とか言われてすごい安い値段で会をやったりもしてたこともあったけど、安い値段でやった仕事ってすごい文句言われるのよ。「金は出せません」っていうやつに限って文句言ってくる。
それなりの値段をとったら案外言われない。

…いろんな話をパーパーしてお客さんもいじって好き勝手言ってるんだけど、時々はっ!とする言葉があって、うぉおおーーっとなる。
特に私、最近会社のことでうじうじ考えることが多かったから、ああそうだ、そうなんだよっていう思いが大きかったなぁ。
すごくいい話をした後に、電子マネーのこととかを熱弁するから、それがとってもうさん臭くて、おかしい。楽しかった~。


かしめさん「ん廻し」
「ずっと後ろで見ていて中には頷いて聞いてるお客さんがいましたけど、うちの師匠にだまされないで!!電子マネー!あとくれぐれも落語家になろうなんて思わないで!(落語家になりたい中学生が来てたので)あとでいろいろ教えるから!」に大笑い。
かしめさんの「ん廻し」、前にも一度見たことがあったけど、めちゃくちゃ面白い。
途中までは古典の通りなんだけど、途中からオリジナルの展開(歌とか花火とか)がすごくおかしい。さすがこしら師匠に弟子入りするだけのことはある。
笑った笑った。
初めて「こしらの集い」で見た時は、「こ、これは…(やばい)」と思ったのに、みるみる面白くなっていってすごい。


こしら師匠「干物箱」
善公に身代わりを頼む若旦那。
「あのさ。家の間取りはさ、玄関入るとすぐにリビングがあってそこを突っ切って行くと階段があるからそれを上って俺の部屋へ…」
「え?ちょっと待って!なにその間取り?玄関開けてすぐにリビング?そこを通らないと階段に行けないの?」
「うん。リビング4畳だから」
「4畳?狭いじゃん!おやじいたら絶対見られるじゃん。え?若旦那の家って金持ちじゃないの?」

上に上がってからのおとっつぁんとの会話でも「いただいた干物はどこに仕舞った?」と聞かれて「干物箱です!」と答えると「ああ、干物箱に仕舞ってくれたか。それなら安心だ」「え?干物箱あるの?」とか、親父からトンデモナイ家族の秘密を告白されたり、「ちょっとおとっつぁん、待ってくれよ。そういう話は明日改めて聞くわ」と善公が言うと父親が「こんな話を聞かされた後でもまだおとっつぁんと呼んでくれるのか。うれしい!今からお前を抱きしめに行く!」とか、ぶっとんだ展開に大爆笑。

あー楽しかった。
会の後には列に並んでサインももらって(「え?えつこさん?美人に多い名前だ!え?りつこ?あーーそっちの方がより美人!」←なんてテキトー。)うれしかった~。

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