りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

瀧川鯉昇・鯉八 親子会

1/18(金)、文京シビックホールで行われた「瀧川鯉昇・鯉八 親子会」に行ってきた。


・どっと鯉「真田小僧
トーク(鯉昇、鯉八)
・鯉八「長崎」
・鯉昇「粗忽の釘
~仲入り~
・鯉八「おちよさん」
・鯉昇「ねずみ」


どっと鯉さん「真田小僧
聞き飽きた噺だけど面白かった。なんだろう。淡々とした芸風ではないんだけど、押しの加減がちょうどいい?のか、分かっていても思わずぷぷっと吹き出してしまった。


トーク(鯉昇師匠、鯉八さん)
鯉八さんが入門した時の話(だいたい弟子を取る時は体調が悪いときが多い、と鯉昇師匠)や幽霊を見ようと鯉昇師匠と蝠丸師匠と愛山先生とで寺に入ろうとして捕まった話など。
鯉昇師匠の話ってほんとに面白い!それを上手に引き出す鯉八さん、ナイス!
「沈黙トークコーナー」と言われていたけどそんなことはなくて話題が尽きることなく楽しかった。
師匠が「こういう場(親子会)に呼ばれると(師匠側は)堂々としているように見せてるけど実際はドキドキで絶対弟子よりはウケたい!と思っている」とおっしゃったのが面白かった。

すごいな、鯉八さん。まだニツ目なのに親子会ができるなんて。りっぱになって…と目じりを押さえる親戚のおばちゃん状態の私。


鯉八さん「長崎」
師匠に連れて行ってもらったスーパー銭湯での落語会。自分が先に上がって25分。その後師匠が上がって35分。
着物を着換えてモニターで見て勉強させていただこうと思っていて、師匠が「へっつい幽霊」に入った!と思ってハッと気づくと師匠が「もう終わったよ」と肩のあたりをゆすってる。
ん??と思ったら、なんと自分はそこで眠ってしまってたらしい。
自分の師匠が落語をやっている時に部屋で寝入ってしまってるなんて、他の一門だったらクビになってもおかしくない。
でも師匠は小言を言うこともなく優しく起こしてくれてその後もそのことには一度も触れなかった。
「もう終わったよ」がもしかすると「お前の落語家人生終わったよ」だった可能性もなかったわけじゃないのに。
師匠ほんとはあの時どう思ってたんだろう。怖くて今も聞けない。

そんなまくらから「長崎」。
名作だよなぁ…これ。
しーんとなって聴き入っているとぶわっと笑わされてでもまた思わず聴き入る。
この独特な世界観は他の人にはまねできない。

ちゃんと長崎案内にもなっていて、ちゃんぽん、トルコライスなどが食べたくなるし、長崎の夜景も目に浮かんでくる。
笑えるけどしんみりとした気持ちにもさせられて、まさに鯉八ワールド。
楽しかった!


鯉昇師匠「粗忽の釘
鯉八さんが言っていたスーパー銭湯の時の話は、彼が真打になったときの披露目の時に話します、と鯉昇師匠。
師匠が鯉八さんのことを「あの子」と言うのがなんかとても新鮮で微笑ましい。

そんなまくらから「粗忽の釘」。
おおっ。テッパンで来た!トークで言ってた言葉通りガチ勝負?!

粗忽者のまくらで自分の父親を忘れる小噺をやったんだけど、目と目があって笑いながら手を振る様子がもう面白くて面白くて大爆笑。
表情もそうだけど身体の使い方がとってもうまくて、いつも「芸の省エネ」を力説されている師匠だけど、いやいやいや…決して省エネじゃないんだな、師匠の芸って。

鯉昇師匠の「粗忽の釘」は本当に何度も見ているけど、前に聴いた時とまた変わっていて、どんどんシャープになっていってる感じ。
最初から最後までぎっちり面白かった。


鯉八さん「おちよさん」
タイトルだけ聞いていて噺を聴くのは初めてだった。
この女の喋り方が腹が立つけど、あるあるすぎて。そしてこの男もまたありそうでなさそうで…。
ありえないシチュエーションだけどどこかでしていそうな会話。いや絶対に実際にこういう会話をすることはないだろうけど、でもどこかで見たことがあるような。

笑うのとあっけにとられるのとまた笑うのと。
鯉八さんの新作は好き嫌いが分かれるだろうけど、文京シビックホールが満員になるんだから、鯉八フリークがそれだけたくさんいるということなんだろうな。
面白かった!


鯉昇師匠「ねずみ」
新作はどこがサゲなのかわからないから、あの子の高座を聴いていて「え?終わり?ここで?」と慌てて舐めかけていた飴を置いてきた、と鯉昇師匠。
確かに「おちよさん」は終わりがわかりづらいもんね。わははは。

二席目は改変のないとてもちゃんとした(笑)「ねずみ」。
甚五郎がとても穏やかで優しい。ねずみ屋の主人が愚痴を聞いてもらいたくなるのも分かるなぁ。
最後は正統派できっちりと締めた感じ。

いい会だった~。満足。