りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第52回伝承話芸を聴く会

12/1(土)、東京堂ホールで行われた「第52回伝承話芸を聴く会」に行ってきた。

・琴柳「祐天吉松 甲府落ち」
・小燕枝「提灯屋」
~仲入り~
・藤兵衛「井戸の茶碗

琴柳先生「祐天吉松 甲府落ち」
前回聞いた「祐天吉松」の続き。

屋敷を焼いた吉松と健治は甲府の長兵衛親分の元へ身を寄せる。事情を知っている長兵衛は吉松には背中の彫り物で名前が知れているから近所の湯屋には行くなと釘を刺しながらも二人を歓迎し「ゆっくりしていきねぇ」と優しい言葉をかける。

3か月過ぎた頃に長兵衛が二人を呼び、実は自分が世話になった親分の孫弟子?にあたる常五郎が不幸が続いて困窮していると聞くので十両を届けてほしい、自分からと言うと他の子分どもがそれなら自分にも…と金の無心に来られても困るので、お前たち二人からと言ってあげてほしい、と言う。
そう言われた吉松は「それであれば自分も最近サイコロの具合がよくて金がたまっているので身銭を切らせてほしい」と申し出る。

二人が常五郎がいると聞いた村に入り「常五郎の家はどこだ?」と尋ねると「それは哀れ常五郎のことか?」と村人。どうやら常五郎の不幸は村でも評判らしい。
「あそこが常五郎の家だ」と指差されたのは豚小屋と見間違えるほどのあばら家。
訪ねてみるとそこには年老いた母と常五郎の子ども。妻は子どもを産み落としたときに死んでしまい、乳飲み子を抱えて困窮している様子。

「これは我々から」と十両を渡された常五郎は「いやこれは長兵衛親分からなんだろう」と言うが、誤解を正そうとはしない吉松。
常五郎に見送られ家を後にする。

常五郎が出て行ってしばらくすると富之助の子分4人が押し入ってきて、借金の二十両を返せと言ってくる。
常五郎は確かに富之助に二十両を借りたが、その前に富之助には二十両を貸しているのでこれでチャラになるはずだと言う。
しかし4人は言うことを聞かず、常五郎の母親が大事に持っている十両に目をつけて、母親を蹴飛ばして十両を奪い逃げ去って行く。

常五郎が刀を懐に入れて飛び出そうとするのを止める母親。お前が何かことを起こしたら乳飲み子はどうなるのだ、辛抱してくれと言われ、ぐっとこらえる常五郎。
子どもの乳をもらいに八百屋に行き帰ってくると、母親は自害していた。
あまりのことに常五郎が富之助の元へ走ろうとしたところ、道に迷っていた吉松と健治に出会う。事情を聞いた吉松は常五郎と兄弟分の盃をかわし、自分たちも助太刀することを誓う。

…おおお。今回はちゃんと筋が追えたぞ。
琴柳先生の語りってなんかすごくかっこいい(←あほな感想)。時々入るくすぐりが楽しくてふわっと力が抜けて、またそこから物語に集中できる。張扇の叩き方もやたらとばしばししてなくて素敵だ。


小燕枝師匠「提灯屋」
ちんどん屋のチラシをもらって飛び込んで来た男がやたらと「女のちんどん屋がいた。女だぜ。女のちんどん屋だぜ。女なんだよ」と女女言うのがおかしい。それを聞いて「お前、何度も何度も女のちんどん屋って言いやがって。」と言いながら「きれいな女だったな」とやっぱり「女」に食いついているのがおかしい。しかもちんどん屋の後ろにくっついて町内をぐるっと一周して「そういう子どもはいるが、大人でやったのはあなたが初めて」と「感心してやがった」とえばってるおかしさ。

その後は字が読めない連中でああでもないこうでもないとやいやいやるんだけど、「無理は禁物ってことだよ」と妙に上から目線の男がいたり、「こんなものは匂いをかげばわかる」とチラシをくんくんにおったり、くだらなくておかしい。

提灯屋に来る若い衆の「紋」のはんじ方がどんどん雑になるのもおかしくて、たいして説明もしてないのにすぐにもらって帰ろうとしたり「これただでくれたとして下に取るならいくらになる?」と言ったりするのもおかしい。楽しかった。


藤兵衛師匠「井戸の茶碗
清兵衛さんが正直者だけど口が悪くていかにも庶民らしくて楽しい。
千代田氏のところに行って五十両を受け取らせようとして「あなたのはバカ正直」と言って「バカだと?」と怒らせたり、「娘さんがそんなみすぼらしいなりをして」と言って「そんなことを言われる覚えはない」とさらに怒らせたりするのも、そういう口の利き方や気の使い方ができないことが伝わってくる。
高木作左衛門はいかにも若い侍らしくて爽やか。屑屋の顔を改めるときに「(そんな顔に生んで)親から謝られなかったか」というのには笑った。

こざっぱりした軽い「井戸の茶碗」で好きだなー。
次回は1月5日。抽選もあるって…行きたいな。