りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭10月上席夜の部 林家たこ平改め林家たこ蔵 真打披露興行

10/10(水)、「末廣亭10月上席夜の部 林家たこ平改め林家たこ蔵 真打披露興行」に行ってきた。

・市馬「粗忽の釘
馬風禁酒番屋
~仲入り~
・真打昇進披露口上(玉の輔、馬風、たこ蔵、正蔵、市馬)
・ニックス 漫才
正蔵「読書の時間」
・歌之介「お父さんのハンディー」
仙三郎社中 太神楽
・たこ蔵「お見立て」


市馬師匠「粗忽の釘
市馬師匠らしいのんびりした穏やかな「粗忽の釘」。
おかみさんにやいやい言われた大工さん、ぶつぶつ文句を言いながら謝りに出かけて行くんだけどちょっとすると「あーかかぁの言う通りだな。おれは落ち着かなきゃなんねぇ。かかぁの言う通りにしときゃまちがいねぇや」。
あがれともいわないのにあがってきた大工さんにお隣さん。
「いや、あがってきちゃったんだよ。しょうがないよ。お茶を出しとくれよ。こういう人みたいだから」。
迷惑そうというより、こういう人なんだな、これから長い付き合いになるなというあきらめにも似た受け入れ体制が見ていて心地いい。
やわらかでふわふわと楽しい「粗忽の釘」だったなー。
私、年々「どや!」な芸が苦手になってきて、ふわっとした落語が好きになっていくな。


馬風師匠「禁酒番屋
まくらなしで「禁酒番屋」。
馬風師匠の落語、初めて見た!
番屋の役人が怖い。震え上がるわ、こんなのが入口にいたら。
近藤氏のところに菓子屋が来たというので怪しんで中を調べようとするんだけど、「ご進物」と聞いて「ああ、そうであろう。おかしいと思ったわ。調べんでもよろしいな」という言い方がとても自然で、あーよかった…とこちらも見ていてほっとしてしまう。
でも「どっこいしょ」と聞いて「待て!」と言うのがまた怖くて、震え上がる~。
そして番屋の役人、油屋が来た時点でかなり酔っていて、3番目が来たときはもうべろんべろん。
「小便」と聞いても「よきものを持ってきおった」とつい言ってしまうおかしさ。
小便とわかって怒鳴りたいけど怒鳴れなくて悔しくてぶるぶる。
余計なギャグとか一切入れない、意外にも(失礼!)ちゃんとした「禁酒番屋」だったー。びっくりした。ええもん見た。


真打昇進披露口上(玉の輔師匠:司会、馬風師匠、たこ蔵師匠、正蔵師匠、市馬師匠)
口上で左から二番目に座る馬風師匠を見たのも初めてでまたまたびっくり。
口上はいつもの通りだったけど、おふざけが少な目だったかも。こういう日もあるんだ!
正蔵師匠が、たこ蔵師匠が自分のことを鈴本で出待ちをして「弟子にしてください」と言ってきた時にいかにも怪しい雰囲気だったけど、話をしてみると目の奥がきらきらしていて純粋なものを感じた、と。また、自分がこぶ平から正蔵になるところを彼は目の当たりしていてそれもあって自分の「蔵」の字をとって「たこ蔵」になりたい、と言ってきたんだろうと思ってとても嬉しかった、と語っていたのが印象的だった。
たこの後ろ幕がとてもかわいいかった!あと、舞台上に置いてあるたこのぬいぐるみも!
この日のお客さんは口上一つ一つに心のこもった拍手…なんかじーんとした。


正蔵師匠「読書の時間」
この日のお客さんにとても合っていたみたいで、すごい爆笑の渦だった。
カバーは「竜馬が行く」だけど中身はエロ本。それを先生に「読みなさい」と言われ「はい」と答えてから読んでびっくりして目を白黒させるのがとてもおかしい。
こういう昭和な新作の方が合ってる気がする、正蔵師匠。


たこ蔵師匠「お見立て」
まくらなしで「お見立て」。
ちゃんとしたところと壊れたところのある「お見立て」で面白かった。
木兵衛はちょっとやりすぎかなぁという気がしないでもなかったけど、花魁はいかにも気だるくていい雰囲気。喜助もいい感じ。
喜助が喜瀬川花魁と木兵衛の間を行ったり来たりしながら「あーもうやめよう、この仕事」「やり直したい。人生やり直したい。明日から」とつぶやくのがおかしかった。
そうは見えなかったけど実は相当緊張してたのかもしれない。なんとなくそんな気がした。