りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第51回 伝承話藝を聴く会

10/6(土)、神保町東京堂ホールで行われた「第51回 伝承話藝を聴く会」に行ってきた。


・小燕枝「蜘蛛駕籠
・藤兵衞「しびん」
~仲入り~
・琴柳「祐天吉松 旗本岩田七太夫
・琴柳「朝鮮軍記」


小燕枝師匠「蜘蛛駕籠
最初から最後まで完璧に面白い。テンポがよくて間がいいから全くダレないし飽きさせない。
酔っ払いが突っかかったり謝ったりするのがもう絶妙のバランスでめちゃくちゃおかしい。
また踊りながらやってきた人と一緒に踊ったり歌ったり、やってるうちに楽しくなって来たり…で、「そろそろ御籠に乗ってください」と言われて「乗りたいけれど金がない!」と言うタイミングの良さにぶわははは!と笑ってしまう。
楽しかった。


藤兵衞師匠「しびん」
小燕枝師匠がこれだけお客様をあたためてくれたのにその後に出てきて「しびん」なんという噺をするのは申し訳ないようなんですが、と言いながら「しびん」。
侍が品があって威厳がある。
道具屋でしびんを見つけて「まことに面白い」「結構」と感心して、道具屋が「いえいえ…しびんですぞ」と言うと「しびん焼きと申すか」とまじめに返すおかしさ。
その立派な侍が片手にしびんを持って宿に帰ると、番頭や奉公人が「今片手にお持ちになっていたのはしびん?」「いやまさか。あの方に限って」みたいな噂話をするのがおかしい。
また本屋さんがしびんに関する故事を話すというのも初めて聞いたけれど、町人だけど教養があるのが伝わってくる。

道具屋では近所のおばあさんが寝たきりになった亭主が使うからしびんを借りることになっていて「用意しておくと言ってたのになんで?」と尋ねると、道具屋が「いや、ちゃんと見つけて洗って店で乾かしていたんだけど、それをさっき侍が来て買って行ったのだ」と言う。
5両で売ったと聞いておばあさんがそれがバレたらお前さん命はないよと言っているところに侍が走ってくるのが見えて、慌てて道具屋がおばあさんを布団に押し込める。

怒り狂う侍に道具屋があそこに寝てるのがお袋で長の患いでどうしても5両が必要で…と言うと、侍が「自分も国から出てくるときに母上が”お前は短気だから間違いを起こすんじゃないかと心配だ。怒りを感じることがあったら私の事を思い出してくれ”と言った。40過ぎた自分のことをまだこうして心配してくれる。親というのはありがたいもの」と言って、道具屋に「金も命もくれてやる」と言って店を去っていく。

侍っていうのが違うなぁと思っていると、布団に押し込められたおばあさんも同じことを言う気持ちの良さ。

しびんをありがたがる侍を最初は笑っていたんだけど最後まで聞くと尊敬の念もわいてくるという…面白かった。


琴柳先生「祐天吉松 旗本岩田七太夫」「朝鮮軍記」
両方とも初めて聴く話だったので筋を追うのに精いっぱい。
今回は「修羅場」ということで、琴柳先生による「修羅場講義」もあって面白かった。もっと講談がわかるようになりたいなぁ。