ウィステリアと三人の女たち
★★★★
どんな夜にも光はあるし、どんな小さな窓からでも、その光は入ってくるのだから――。
真夜中、解体されゆく家に入りこんだわたしに、女たちの失われた時がやってくる。三月の死、愛おしい生のきらめき、ほんとうの名前、めぐりあう記憶……。人生のエピファニーを鮮やかに掬いあげた著者の最高傑作。
女性として生きることの意味を突き詰めて考えた作品という印象を持った。
4作収められているがどの作品にも共通するのは誰とも交じり合えない1人ぼっちの女である自分。
女でありすぎるから?ほんの少しだけでも接点を持つことのできる相手は男性じゃなく女性なのか。
この作品に出てくる男性の存在感のなさといったら、そこに立っているだけの木のよう…。見上げてみるだけ木の方が存在感があるぐらいかもしれない。
美しくて醜い女の世界。見たくないものを見せられたような内容なのに、それでも時間が経って思い出すのは花びらを纏う女の姿というのが心憎い。