りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

夏丸谷中慕情

8/28(火)、chi-zu2号店で行われた「夏丸谷中慕情」に行ってきた。

・夏丸「樟脳玉」
~仲入り~
・夏丸「釣りの酒」

夏丸さん「樟脳玉」
話すことをメモしてきたという夏丸師匠。
こちらで前回やったときは、寄席への挨拶まわりと記者会見の前日でした。あれから今度は披露目のパーティの準備、それからパーティがあって、その後お礼状を出したり…そうこうしているうちに寄席での真打披露興行が始まって…いったん都内の披露目が終わったあと今度はアロハマンダラーズがあって…その練習はいつやっていたかというと披露興行やってる最中だったんですね。アロハマンダラーズの練習をした後、寄席に行って披露興行というわけのわからない忙しさ。それから大須に行って帰って来て…それが終わってからでした、クーラーにやられて風邪をひいて…それがようやく治ったと思ったら今度はクーラーのない部屋で扇風機を直に当たるっていう高座があってその後咳が止まらなくなりまして。
これね、風邪じゃないんですよね、それでも喋り始めるとすぐに咳が出てきて…しかも近所の耳鼻科がお盆で10日ほどお休みで行くことができなくて…。
ようやく病院に行って言われたのは、喉を相当やられていて炎症を起こしているんだけどそのせいで身体が風邪と同じように勘違い?してしまい異物を入れまいとして咳が出ている、と。
なのでしばらく声を出さない方がいいと言われたんですけど…声を出さないって言われてもね…落語ですから。
私、前に花火大会を見に行った時、ものすごい人の数で身動きが取れなくなったことがあったんです。会場にたどり着くことも後戻りすることもできないっていう状態で…ビルの間から花火を見る…実際はビルが邪魔で花火が見えないので音だけ聞いたんですけど、花火って音だけ聞くものじゃないですね。あれは映像あってこそ楽しいものですから。
そういう意味で落語は映像はなくても音があればいいというもので…だからラジオなんかもあるわけで。
それじゃここで実験してみましょう。
…といって、口パクで落語。なんかすごいシュールでおかしい!
じゃ、今度は目をつぶってください。
…といって、小噺。(隣の空き地に…)
面白くなかったですね、音を聞いても。
…ぶわははは。なんか今日のまくらがいつにもまして面白いんだけど!

それから芸協でもついに入門に際しての制限がかかったという話。
今までは「35歳でこぼこ」だったけど、今後は35歳未満になる、と。
それだけ入門希望者が多いんだね。
あと亡くなったさくらももこさんが落語ファンで漫画家になれなかったら落語家になろうと思っていた、とか。入門したとしたら誰のところに入ったんでしょうね。桃太郎師匠なんかいいんじゃないですかね。昔昔亭桃子、なんてね。

そんなながーいまくらから「樟脳玉」。初めて聞く噺。
兄貴分のところにくまがやってきて「いい金儲けがあるから片腕を貸してくれないか」と言う。
兄貴分は今金がなくて困っていたから片腕どころか両腕を貸してやるとのりのり。
くまはこの話は人に聞かれると困るからと窓を閉めさせ、仏壇の扉も閉めさせ、猫も追い出す。
ようやく話し始めたのは、長屋の捻兵衛のおかみさんはお屋敷奉公していた美しくて金持ちの女で、捻兵衛はこの女房にベタぼれだった。女房が病で死んでしまい捻兵衛はものすごい立派な弔いを出したものの、今も涙に暮れている。
そこで捻兵衛をだましておかみさんの幽霊を出して、こうやって幽霊が出たのは女房が着物に気が残っているからだと言って、おかみさんが持っていた高価な着物を奪い、また捻兵衛がため込んでいる金も奪ってしまおう、という。
幽霊ときいて兄貴分が「だったら樟脳玉を使おう」と言い出す。
樟脳玉に火をつけて天井からぶらさげて揺らせば火の玉に見えるだろう、というのである。
その日の夜に早速やってみると捻兵衛は女房が浮かんでない証拠と思い念仏を何度も唱える。
次の日くまが捻兵衛を訪ね、うまいことを言って着物を奪い取ることに成功するのだが、肝心の金を巻き上げるのを忘れてしまう。
じゃ仕方ない今夜も火の玉を出そうということになり、前の日より余計に大きな樟脳玉をこしらえて天井からぶらさげるのだが、大きすぎて樟脳玉が捻兵衛のほっぺたに当たってしまう。
次の日くまが訪ねて金を奪おうとすると「弔いで使い果たしてしまった」と捻兵衛。ほかに金目のものはないのかと聞くと「女房が大切にしていたひな人形がある」と言って、箱からひな人形を取り出した捻兵衛はそこに入れてあった樟脳のにおいをかいで…。

…長屋の二人のしょうもない悪だくみ、夏丸師匠がやるとなんともいえず軽くてばかばかしくておかしい。
くまの間が抜けているのがなんともいえず人を食っていて楽しい~。
人払いをするところから、樟脳玉をぐるぐる回すところから、おかしくておかしくて大笑い。
夏丸師匠はこういうちょっと風変わりな噺が合うなぁ。楽しかった!

 

夏丸師匠「釣りの酒」
地元のお祭りの話。夏丸師匠の田舎では山車が有名らしく、2年に一回あるその祭りの話がとても魅力的で見てみたくなる。
釣りのまくらから「釣りの酒」。
一文もないけど酒が飲みたい男が、釣りの話になると夢中になって酒をただで飲ませてくれるという男の家を訪ねていく。
はなから釣りに興味のない男と釣り好きの男の会話のずれがくだらなくて楽しい~。
笑った笑った。
お披露目が終わってほっとしたのか、普段ないぐらい弾けてる夏丸師匠がとってもよかったー。