りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

葉月の独り看板 蜃気楼龍玉 怪談『牡丹灯籠』三夜連続口演 第三夜

8/14(火)、国立劇場で行われた「葉月の独り看板 蜃気楼龍玉 怪談『牡丹灯籠』三夜連続口演 第三夜」に行ってきた。

・龍玉「新三郎殺しの下手人」
~仲入り~
・龍玉「お露の前世」

龍玉師匠「新三郎殺しの下手人」
お峰を殺した供蔵は店に帰り、「土手下で追いはぎにあった」と店の者に告げる。
自分は命からがら逃げてきたがお峰が捕まってしまったので、一緒に来てくれと言う。
店の者が土手下でお峰の死体を見つけ、役人を呼ぶと、役人は一目見て「これは刀で斬ったのではない。刀で突かれて死んでいる」と言う。素人が斬るとそうなるのだと言う。そして斬るよりも突く方が痛いのだ、と。
供蔵は泣き崩れ、疑われることもなく、追いはぎの仕業ということになる。

店に戻ってしばらくすると番頭が女中の一人の様子がおかしいと供蔵のところに来る。
部屋に入ってみると女中がうつろな目で供蔵の方を見てぶつぶつうわごとを言う。
「胸の貝殻骨のところから刀で突き殺されたのが痛い」「あたしを殺してお国と一緒になろうだなんてあまりにひどい」…。
供蔵はこれはお峰がとりついていると、ぞっとする。
番頭に「医者を呼べ」と言うと「そういえば今江戸から名医が来ていると聞いた」と番頭。
早速呼びにやらすと、やって来たのが山本志丈。志丈は供蔵に気づき「新三郎の下男をしていたころから頭のいいよく気の付く人物だと思っていたが、こんなに出世をされて…」とお世辞を言う。
自分は病人は嫌いで病人をみるより女を見る方が性に合ってるのだが、やんごとなきことがあって江戸を離れて栗橋宿に逗留していたら、病人が出て診て薬をやったところ偶然治りそれから「名医」と勘違いされて次々病人がやってくるようになった。遊ぶ金が欲しいから見てやっている、と言う。
女中の部屋へ案内された志丈に、女中は「おや、志丈先生、お久しぶりです」と挨拶をし、供蔵がお露の幽霊から百両もらってお札をはがし、観音如来も奪って土に埋めたこと、幽霊からもらった金を元手に荒物屋を始めたこと、女に入れ込んで自分が邪魔になって殺したこと、を告げる。
供蔵が何度も制止しようとするのを「まぁまぁ」と言いながら最後まで聞いた志丈は「そういうことでしたか」と納得している。
新三郎の死についてはいろいろ言われていて自分もおかしいと思っていた、と。
そして自分も懺悔をするからあなたも正直に言いなさいと言って、新三郎とお露を引き合わせたのは自分だということ、二人があまりにも本気になってしまったのでこのままではまずいと思いお露に新三郎は死んだと嘘を言ったこと、そのせいでお露が死んでしまった、ということを話す。
それを聞いて供蔵は、今この女中が言ったことは真実だということのほかに、新三郎はお露の幽霊に殺されたのではない、ということを告白する。
そもそもお露は焦がれ死にするほど新三郎を愛していたのだからとりついて殺すはずがない。
百両を盗んだのも自分だし、新三郎を蹴り殺したのも自分。それを幽霊がやったように見せかけるため、適当な骨を掘り出してきて細工をしたのだ、と。

…おおっ、なななんと!お露の幽霊が殺したのではなく供蔵が?なんて悪いんだ、供蔵!
と思ったら、ここらへんからが新解釈?らしい。でも確かにその方が納得がいく、かな。
そしてこの志丈先生、覚えがある!雲助師匠で途中まで聞いたことがあったはず!とブログを検索したら、らくご街道で「関口屋」として聞いたことがあった!
まさにたいこもちの医者であの時も面白いキャラクターだなぁと思ったのだのだが、龍玉師匠の志丈もとらえどころがなくて、でも無駄に明るくて軽くて楽しくて、悪党なんだけど憎めない。
こういうキャラクターが出てくるとぐっと楽しくなる!

龍玉師匠「お露の前世」
源次郎とお国が美人局をしようとするのを先に気づいた志丈が供蔵に忠告し、供蔵も「そういうことか」と納得しお国の誘いに乗らず未然に防ぐが、次の日源次郎が供蔵を脅しにやってくる。
しょせん町人だから刀で脅せば金をだまし取れるだろうと思っていた源次郎だが逆に供蔵に気圧されてしまう。
荒物屋を売り払って江戸にもどり、隠しておいた観音如来を売って金を作ってやり直す、という供蔵に「それなら私も」と志丈。
二人で江戸へ戻る道すがら派手に遊び、志丈は源次郎とお国のことをパーパー喋る。
江戸へ戻って志丈とともに観音如来を掘り出した供蔵は、油断した志丈を刀で殺す。しかしそこを役人に見つかり慌てて逃げ助かった…と思ったときに、また役人風の男と鉢合わせしてしまう。
その男を殺そうとすると逆に捕まえられてしまうのだが、これが源次郎とお国が宇都宮へ向かっているという噂を聞きつけて敵討ちに向かおうとしていた孝助。
これで供蔵は捕まってしまい、これ以上の悪事は続けられなくなった。

観音如来は新幡随院の和尚の元に戻るのだが、そこで和尚が語ったのは の物語。
新左衛門とお露もこの因縁だった、というのがラスト。

…ほぉーー。
いろんなキャラクターが出てきてこの第三夜はとっても面白かった!
供蔵の徹底した悪人ぶりもそうだが、孝助という忠義に厚い人間や、悪党だけど軽くて楽しい志丈、と魅力があって楽しい!
面白かった!