りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

葉月の独り看板 蜃気楼龍玉 怪談『牡丹灯籠』三夜連続口演 第ニ夜

8/13(月)、国立劇場で行われた「葉月の独り看板 蜃気楼龍玉 怪談『牡丹灯籠』三夜連続口演 第ニ夜」に行ってきた。
・龍玉「お国の不義」
~仲入り~
・龍玉「お峰殺し」

龍玉師匠「お国の不義」
「お札はがし」は何度か聞いたことがあるけど、こちらは初めて。
まずは前回のあらすじということで、旗本の飯島平左衛門の娘お露は、浪人の新三郎に恋い焦がれて焦がれ死にをしてしまう。幽霊になったお露は女中のお米を伴って新三郎の家を毎晩訪ねる。新三郎のことを心配した白翁堂が和尚からお札をもらい、新三郎は幽霊が家に入ってこないようにそこら中にお札を貼る。お札を貼られたために家の中に入れなくなってしまったお露は、新三郎の下男供蔵にお札をはがしてくれと頼む。供蔵ははがしてやってもいいが百両くれと言うと、お露は平左衛門宅から百両盗み出し渡す。供蔵がお札をはがしたおかげでお露は中に入ることができ、翌朝新三郎は白骨に抱きつかれた状態で死んでしまう。
もともと旗本の娘であるお露と浪人の新三郎が出会うはずはなかったのだが、なぜ出会ったかというと…。
平左衛門の妻が病死し傷心の平左衛門とお露であったが、女好きの平左衛門は酒の勢いもあって女中のお国に手を付けてしまう。それが気に入らないお露はお国に辛くあたり、またお国は毎夜平左衛門にそのことを愚痴る。二人の間に挟まれた平左衛門は疲労困憊し、お露と女中のお米の二人を屋敷から出して別宅へ住まわせる。
その噂はあっという間に広がりお露を狙った男が家に訪ねてくるようになり、ある時懇意にしていた医者が新三郎を連れて行き、二人は恋に落ちたのである。
お露が死んで平左衛門はショックを受けるが、お国は邪魔ものがいなくなったとほくそ笑む。
平左衛門が泊まり番で留守にしている晩にお国は隣に住む平左衛門の甥の源次郎を部屋に誘い込む。実はこの二人は少し前からいい仲になっていたのである。
びくびくする源次郎にお国は平左衛門を殺して養子となって飯島家を乗っ取る計画を話す。剣の達人である平左衛門を自分なぞが倒せるわけがないと源次郎が渋ると、酒を飲めばぐずぐずになるからそこは自分にまかせてくれとお国。
二人が話していると庭で物音が。誰だ?と見ると、草履とりの孝助。主人である平左衛門を想う気持ちから二人にたてつく孝助を源次郎は殴りつける。
その晩、一人で寝ているお国は妙な物音を聞く。それは幽霊になったお露が金を盗み出す音。恐る恐る音のする方へ行ってみると誰もいないが、百両を入れていた胴巻きがそこにあり、またお露が母親から譲り受けた香箱が落ちていた。
香箱を懐に入れ、胴巻きを孝助のはさみ箱に入れたお国は、孝助が百両を盗んだと偽り、平左衛門に手打ちにさせようとする。
呼び出された孝助は身に覚えがない…と言うが、もう何を言っても無駄だろうと覚悟を決める。
平左衛門は自分の罪を認めれば手打ちにはせず切腹を許すと言うと涙をこぼした孝助。悲しいのではなく、父の仇をとることができなかったのが無念と言う。
その話をしろと平左衛門に言われた孝助は父黒川孝蔵を何者かに殺されて仇を追っている、と言う。
それを聞いた平左衛門は顔色を変え「思い出したがあの百両は私が自分で抜き取ったのだ」と言い、孝助を助ける。
平左衛門の本意はわからないが助けられたと感じた孝助はこのままでは源次郎とお国に平左衛門が殺されてしまうと思い、自分が源次郎を殺し手打ちになろうと決める。
その晩酒宴が催され、源次郎がお国の元へ行くのを庭で待っていた孝助。源次郎の着物が見えたので槍でつくと、なんとそれは主人の平左衛門。
孝助がその晩源次郎を殺すと見越してわざと源次郎に間違われるように着物を変えたと言う。
なぜかと問うと、源次郎の父を殺したのは自分なので、孝助に仇を打たせてやりたかったという。またこのままでは源次郎とお国に家を乗っ取られてしまうから、自分が書いた手紙を今から知人の家に届けてくれ、と言う。
槍で突かれけがを負った平左衛門は源次郎の部屋に忍び入り、源次郎の太ももを槍で突く。源次郎は慌てて刀で応戦するが平左衛門にかなわない。しかし平左衛門は孝助に突かれた傷がもとでそのまま絶命する。
やってきたお国はこんなに派手にやったのでは賊のせいにすることもできないと言い、源次郎と二人で宇都宮に逐電することにするが、源次郎の腿の傷が酷く、栗橋宿で動くことができなくなりここに長逗留することになる。

…おお、初めて聞いてよく理解できたな、あたし(自画自賛)。
いやしかしまだこういう噺だと善悪がはっきりしているから聞きやすいわね…。どいつもこいつも悪人だともうどうでもええわっていう気持ちになってしまうもの。
しかしまぁ龍玉師匠ってばよくもまぁこういう悪人の噺ばかりをこれでもかこれでもかとするわね…。たまにはすかーっと楽しい噺とかしたくならないのかなぁ、よく鬱にならないわね…って余計なお世話か。

 

龍玉師匠「お峰殺し」
幽霊のお露から百両をもらった供蔵夫婦は、妻のお峰の故郷である栗橋宿へ行き、荒物屋を始める。繁盛して奉公人も置けるようになり、供蔵はぜいたくをすることを覚え始める。
栗橋宿に長逗留しているうちに金がなくなった源次郎とお国。宿の主人の計らいで川沿いに住まいながらお国は宿で働くようになる。
そこへやってきた供蔵はお国の女っぷりに夢中になり、金をつぎ込むようになる。
亭主の様子が怪しいと気づいたお峰は、供蔵と一緒に遊んでいる馬方の久蔵に問いただし、供蔵が店の金をお国につぎ込んでいることを知る。
あくまでもしらを切りとうそうとする供蔵に今まで自分がこんなに尽くしてきたのにと恨み言を言うお峰。
大店の主人ぶる供蔵に「もとはといえば幽霊から巻き上げた百両じゃないか」と大声を出すお峰を必死になだめた供蔵は、ここを出て二人でまたやり直そうと説得する。甘い言葉にお峰も「そこまで言ってくれるなら」と許すことにする。
次の日、仲直りのしるしに着物を買ってやると供蔵に言われて二人で出かける。帰り道、供蔵が実は土手下に如来を埋めてあるから掘り起こしたいと言う。人が来ないか見張っててくれと言われたお峰が向こうに気をとられていると、後ろからお峰を斬りつけた供蔵。
最初からこうするつもりだったのかとお峰が供蔵の着物をつかむと、その指を一本一本切り落とす供蔵。7本切ったところでお峰は絶命する。

…指を一本一本切り落とすってこの時代流行ってたのか…。このあいだの「西海屋」でもあったよな、その表現。
いやもうほんとにすぐ殺すのね…そしてすぐ邪魔になるのね、奥さんのことが。
お峰と供蔵の言い争うシーンがものすごくリアルで、見ていてそこが一番しんどかった。供蔵がしらをきったり、開き直ったり、大声出したり、かと思えば急にペコペコしてご機嫌とったり。それに対してお峰がいつまでも責め立てて昔のことをほじくり返して恨み言を言うのがなんか妙にリアルできつい。龍玉師匠もこんな経験があるのかしら、なんて思ったりして。

やっぱり私は圓朝ものより軽くてばかばかしい落語が好きだなぁ…。
と言いながら明日も行く。