りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

 

庭

 

 ★★★★★

それぞれに無限の輝きを放つ、15の小さな場所。待望の短篇集。ふきのとう。ヒヒ。彼岸花。どじょう。葦。鶴。おたまじゃくし。ままならない日々を生きる人間のすぐそばで、虫や草花や動物たちが織り成す、息をのむような不可思議な世界。暮らしの中にある不条理と喜びを鮮やかに捉え、風景が静かに決定的に姿を変える瞬間を克明に描き出す、15篇の物語。芥川賞受賞後初著書となる作品集。 

マンションの上の階に住んでいると、土があって池があって川があって虫がいて…という暮らしを忘れてしまう。
拾ってきたどんぐりを茹でで乾かして清潔な状態にしてから保存するように、消毒された暮らしに慣れていると、家の中に虫が入ってきたり、自分が「生き物」であることを急に思い出させられたりすると、激しく動揺してしまう。

ここに収められた短編はみな、自分のそこらへんの「弱い」部分を刺激されるようで、読んでいてぞわぞわ…。
でも決してそれが不快ではなく、何度も繰り返し読み返したい感じ。

面白かった。