りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小三治独演会 赤坂区民ホール

4/10(火)、赤坂区民ホールで行われた「小三治独演会」に行ってきた。
 

・三之助「浮世床(夢)」
小三治金明竹
~仲入り~
小三治初天神


小三治師匠「金明竹
こちらの会の主催が立川企画ということもあり、「談志さんのことを何か聞きたいですか?今だから話せるっていうこともありますよ」といきなり言い出す小三治師匠。
「いまなら言える。なにをいまさら…っていうの…。今の国会がそうですね。そんなこと前からわかってたよ。何をいまさら、って。ああ、やめましょう、この話は。」
いろいろ言いかけては「やめましょう、この話は。…この会場はね、時間が厳しいんですよ」。

…ぶわはははは。毎年そう言ってるからほんとに厳しいんだろうなー。

「ほかにも厳しいところはありますけどね。ここは特に厳しい。前にどこの会場だったかな。あと30秒待ってくれれば終わるからっていう瞬間に、終わりの音楽が流れたことがありました。♪ちゃーららーちゃーららーちゃーららーららー♪ってね」

…メロディが正確なだけにすごいおかしい!

同じ立川企画の主催でいわきでやった小三治独演会、その時のパンフレットでピアニストの小山実稚恵さんとの対談をしていて、それがとても嬉しかった、と。
入口に置いてあったのでいただいたんだけど、確かにそのツーショット写真、小三治師匠が満面の笑み。すっごくいい表情!
師匠は人間国宝になって憧れられる存在だけど、それでも師匠の方から好きになったり憧れたりすることもあるわけで…そういうのすごく素敵だなぁと思うのだった。
だからこそ、この表情なんだね。

それから東北へ独演会に行った時の話。
いつものホテルが外国人観光客でいっぱいで取れず、ずいぶん離れた宿をとった。
大浴場というほど大きくない中浴場に行ってみたら、湯船に100個ぐらいりんごが浮かんでいた。
りんご風呂というのは初めてだったのだが、りんごというのは日本人にとったらただの果物じゃない。歌だって…りんごの~花びらに~とか、赤いりんごに、とかあって、特別な…心のふるさとというか…桜とりんごは日本人にとったら特別な意味があるもの。それは外国人にはわからないんだろう。
だから浮かんでいるりんごを食べる…食べるだけならまだいいけど、その食べ終わったくずをそのまま風呂に浮かべたままにしとくなんざ…そんな風呂にはいれるかよ!って入りましたけど。

そんなまくらから「金明竹」。
小三治師匠の「金明竹」。小三治師匠の「金明竹」は本当に大好きでCDでも繰り返し聞いていたので嬉しい~!
言い立てをこれ見よがしに速くやって中手をもらう噺家さんもいるけど、小三治師匠はもちろんそんなことはしなくて、聞き取れないのをただ面白がる与太郎と、ちゃんと聞きとろうとしながらやっぱりわからなくて困惑するおかみさんの自然な光景。
小言ばかり言ってる旦那が結構こわくて、ちょっとドキドキ。
一生懸命思い出しながら意味不明なことを言い募るおかみさんが「これいったいなんでしょう?」と本気で聞いてるのがおかしい。

今年はもっと「金明竹」が聞けたらいいなー。寄席のトリでも。


小三治師匠「初天神
残り30分だからまくらはなしかなと思っていたらそんなことはなく。
免許を返納した話から、バイクをあきらめた話。そして夕べ見た夢の話。
春先はどうもよく眠れなくてうつらうつら夢を見ては目が覚めて…。でも昨夜はなぜかぐっすり寝てしっかりした夢を見ました、と。
それが下町を運転している夢だったそうで、夢の中で「あ、おれ、免許ないんだよ。まずいな」と思ったとか。

…私も免許持ってないけど(私の場合は返納じゃなくて取得してない)、夢の中では何回も運転してる!
見よう見まねっぽい感じで道路に出ちゃってて「うひゃー。やべー」って思ってるの。
同じ同じ!(ちがうか…?)

「さっきまで元気が出なかったけど、もう終わると思ったら元気になってきた」と言いながら「初天神」。

この噺、私はほんとに誰で聞いても面白くなくて、小三治師匠の「初天神」が絶品!だと思う。
子どものこまっしゃくれ方、父親の子どもっぽさが絶妙で、最初から最後までほんとに楽しい。
この二人の姿が自然すぎて見ていてニコニコしちゃうし、幸せな気持ちになる。
父親がどんなに連れて行きたくねぇ!と言っても、子供がどんなに生意気言っても、二人の絆がにじみ出ていてほんとにうらやましくなるんだよなぁ。

時間が短かったけど私の大好きな凧あげのところまであって、素晴らしかったー。よかったー。