りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第6回 夏丸谷中慕情

3/11(日)カフェChi_Zu2号店で行われた「第6回 夏丸谷中慕情」に行ってきた。


・夏丸「阿武松
~仲入り~
・夏丸「綾子に捧げるのど自慢(井上新五郎正隆作)」


夏丸さん「阿武松
この会の次の日に真打昇進のあいさつ回りと記者会見がある夏丸さん。たまたまそうなってしまったらしいのだが本当に忙しくて今は落語どころではないそう。
秒刻みのスケジュールになっていて、それを読み上げる(笑)。
それにしてもほんとに大変なんだなぁ…。協会の事務員さんが手伝ってくれるというわけではなく、全部自分でやらないといけない。もちろん一人ではとてもできる量じゃないので後輩に声をかけて手伝ってもらうみたいだけど、それだってそういうのが得意な人とそうじゃない人がいるよね。
なんかもっと合理的にできそうな気もするけど、あえてそうしないところが落語界というところなんだろうなぁ。

真打になるのに16年かかったという夏丸さん。
それは後輩をビール瓶で殴ったとか、セクハラしたとかそういうんじゃなく、自分が入ったころは入門者が少なくて前座が足りなかったから。
同期もいたけど、一人は東大に受かったからやめて、もう一人は楽屋入りした次の日身内に不幸があったと言って休み、次の日も葬儀で休み、その次の日から連絡がとれなくなり…多分まだ葬儀をやっているんでしょう…。

真打昇進に向けての連絡事項などが終わると今度は冬季オリンピックの話。
夏丸さんは夏のオリンピックより冬のオリンピックの方が印象に残るらしい。
やっぱり冬のスポーツは命に係わるものが多いから、というのは面白い意見。
女性の選手がインタビューを受けたりしてるときはバッチリメイクなのに競技の時はスッピンなのに萌える、という夏丸さん。
あの子がいいとか、この子も好きとか…独自の趣味を披露。なんかこの趣味がちょっと変態チック(失礼!)なのが面白い。

それから相撲の話。
白鵬は日本に来たばかりの頃は小柄で細くてどこの部屋でも欲しがらなかった。
入門が許されなければ次の日にはモンゴルへ帰らなければならないという時に、間に入った人がいて宮城野親方が名乗りを上げた。
おそらくほかの親方にはわからなかったけど 親方にはわかったんでしょう。白鵬が鍛えれば大横綱になるということが。

そんなまくらから「阿武松」。
相撲好きの夏丸さんらしく、歴代横綱の名前を並べたり(扇鶴師匠みたい!)相撲の薀蓄が入ったりと、地噺のように展開するのが楽しい。
歌もうまいしお相撲にも詳しいしさっぱりとした和顔だし、夏丸さんってほんとに噺家になるために生まれてきたような人だなぁ。
と書いてみてから気が付いた。

歌がうまいのもお相撲に詳しいのもしゅっとした外見も別に噺家として必要な資質というわけではないのだ。これらを全て落語に活かしてる夏丸さんがすごいのだ。才能を感じるなぁ。真打ちになってからがまた楽しみだー。

 

夏丸さん「綾子に捧げるのど自慢(井上新五郎正隆作)」
群馬県出身の夏丸さん。
群馬県では学校の号令に「起立、礼」ではなく、「起立、注目、礼」と言うらしい。
「注目ってやらないと、どこ見ていいかわからなくないですか?そんなことない?うーん」。
そして夏丸さんのおじいちゃんがとても歌がうまくてのど自慢に出ると必ず優勝していた、という話。
そんなおじいちゃんの影響で夏丸さんは昭和歌謡が好きになりあんな風に歌がうまくなったらしい。なるほどー。確かに夏丸さんっておじいちゃん子って感じがする。

そんなまくらから「綾子に捧げるのど自慢」。
夏丸さん本人を思わせる高校生男子が、同じクラスのお嬢様・綾子さんとひょんなことから相思相愛であることがわかり、すっかりその気になって付き合い始めるんだけど、実は綾子さんは…。
いろいろな困難をのど自慢の全国大会で優勝することで乗り越えようと、本番を迎えるのだが…。

笑った笑った。
おかしいんだけど甘酸っぱさもあって最初から最後までしっかりと落語の世界、だからお尻がむずがゆくなるようなところは全くなくてただただ楽しい。
夏丸さんの魅力が存分に味わえる作品。素晴らしい。
これはお披露目でもぜひ!

 

お花と湯呑の似合う男。

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