ゴースト
★★★★
目をこらすと今も見える鬱蒼とした原宿の館に出没する女の子、二〇世紀を生き抜いたミシン、おじいちゃんの繰り返す謎の言葉、廃墟と化した台湾人留学生寮。温かいユーモアに包まれ、思わず涙があふれる7つの幽霊連作集。
ゴースト譚を集めた短編集。こういうことってあるかもなぁと感じる作品が多かったけど、これはいったいどういう状況?と最初から最後まで「?」な作品も。
結局自分に見えていることなんてごく一部なのだろう。見えてないけど存在する世界があって…それは自分も死んでからじゃないとわからない。いやもしかすると私なんかは死んでもよくわからないのかも。
死んだおじいちゃんのリョウユウのことを思っていたら幼稚園児が軍歌を歌いながら通り過ぎて行ったり若者が軍服を着てスピーチをしている光景がとてもリアルでぞっとする。ある意味幽霊よりこっちのほうが怖い。