りつこの読書と落語メモ

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肺都(アイアマンガー三部作3)

 

肺都(アイアマンガー三部作3) (アイアマンガー三部作 3)

肺都(アイアマンガー三部作3) (アイアマンガー三部作 3)

 

 ★★★★★

穢れの町は炎に包まれ、堆塵館は崩壊した。生き延びたアイアマンガー一族は館の地下から汽車に乗り、命からがらロンドンに逃れる。だが、そのロンドンは闇に侵食され、人々のあいだには奇怪な感染症が蔓延していた。この町にいったいなにが起きているのか?そしてアイアマンガー一族のおそるべき野望とは?一族に反発するクロッド、瓦礫のなかから脱出したルーシー…。物語はいかなる想像をも凌駕する驚天動地の結末を迎える。アイアマンガー三部作堂々完結。 

怒涛の展開にページをめくる手が止められず。と言いながら前作のラストを忘れていて一時中断し「穢れの町」に戻ったりしながら、ケアリーの作り出すフィクションの世界を堪能した。

自分たちの一族を守るために町の人々を踏みつけにするアイアマンガーの人たちに怒りを覚えた前半。
でも彼らの「病」を恐れて町ごと焼きはらおうとする政府のやり方に、自分の暮らしを守るために異物を排除しようとすることに変わりはないのだなぁと感じた。
アイアマンガーは排除されてきた一族だったからこそ、ああいう風にして自分たちの一族を守ろうとしていたんだろうなぁ…。

エンタメ性が高く物語の吸引力も高いこの作品。ケアリーがこんな作品を書くのか!という驚きがあった。
でも私はやっぱりもう少し偏屈度の高い作品がなつかしい。
新作がまた日本でも出版されますように!