りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

12/27(水)お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助「嘘つき村」
・さん助「雪の地蔵堂~西海屋騒動より~」
~仲入り~
・さん助「御慶」

さん助師匠「嘘つき村」
いつものように立ち話より。
兄弟子の喬太郎師匠の番組に一門で呼んでいただいた。
毎年、この時期に一門の真打が呼んでいただき、1月に放送してもらってありがたい限り。
師匠は別の部屋で、他は全員同じ楽屋。
収録の時、メイクのようなものをしてもらえるんだけど、自分は顔のテカリを抑えるパウダーを頭の方にまで付けられる。
これが汗で剥げたんじゃないかと左龍師匠が「(パウダー)はげてない?」と聞くので「いいえ。はげてないです!」と答えると、それを聞いていた喬之助師匠が「え?お前…(自分が)はげてないと思ってるの?!この期に及んで?」。
「いや…頭がはげてないって言ったんじゃなくて、パウダーがはげてないって言ったので…」とさん助師匠。
その後2時間ぐらいの間、「はげてない?」「はげてません」「え?お前はげてないと思ってるの?」の会話を何度となく繰り返した…。そんな一門なんです。

…ぶわはははは!
びっくりまなこで「まだはげてないって思ってる?」とツッコんでくる喬之助師匠の顔が目に浮かんでくる。最高。

この間、池袋にある高級居酒屋に行きました。
「ふくろ」というお店で。とさん助師匠。
先輩に連れて行ってもらってカウンターに座ったんだけど、隣にOLとその上司の二人組。
この上司がOLの腰に手を回しちゃって、どう見てもセクハラ。OLの方は新入社員なのか部下なのかあからさまには断れない風。それをいいことに「このあとカラオケボックスに行こうよ」とささやいたりしている。
彼女が嫌がっているのは伝わってくるので、いらいらしながら見ていたら、その後に彼女が言った一言がすごかった。
「課長、今日は本当に楽しかったです。どんなに楽しかったかを明日部長に報告しますね!」。
そう言われた瞬間、課長が彼女の腰に回していた手がすっと離れた。
溜飲が下がるとはまさにこのこと!

…ぶわはははは!すごいな、それ。
うちの会社では考えられないけど、でも確かに居酒屋で他の会社の忘年会に遭遇するとトイレに行こうとする女性を無理やり自分の膝の上に乗せようとしたり、隣の女性に触ったりするのを目にすることがある。
そういう時はこう言えばいいのか。賢い女性だなー。ブラボー。

そんな立ち話から高座へ。

「嘘つき村」、これは先代の柳枝師匠がやられていた噺で、私この間お話しした通りそのお弟子さんの栄枝師匠から許可をいただいたので、やらせていただきます。
以前は使われていた慣用句で今は使われなくなったものって結構あります。
「化けの皮がはがれる」という言葉がありますが同じような意味で「嘘の皮がはがれる」という言葉があった。今は使われなくなりました。
そんなまくらから「嘘つき村」。

ご隠居さんのところに訪ねてきたくまさん。
会話をする二人の表情がとても生き生きしていて楽しい。
くまさんはうそをつくのが大好きで、これがもうほんとにしょうもない。
本気にして聞いていたご隠居がオチを聞いて「なんだい」とむっとすると、「うぇーーーーい!」と喜びの奇声を上げて出ていくくまさん。
この「うぇーーーい」がすごくばかばかしくて楽しい。
そんなやりとりを他の家でも3回やったあと、くまさんはまたご隠居の家に戻って来て、自分は嘘の名人だと言う。
するとご隠居がお前さん程度の嘘つきは世の中に五万といる。それよりも向島の先の方(だったか?)に嘘つき村というのがあってそこは住んでる人が全員嘘つき。その中でもナントカ(忘れた)という人は嘘つき中の嘘つき。この人こそが嘘つきの名人だ、と言う。
それを聞いたくまさんは嘘つきの名人に嘘で勝てば自分こそが名人を名乗れるようになる、といさんで出かけていくのだが…。

前半の「これは面白そうだぞ」の期待感からの後半の失速ぶりに既視感(笑)。
でもこれ面白い。もう少し短くすれば寄席でもかけられるんじゃないかな。
さん助師匠って大声だしただけですっごくおかしいから、それが強みだよなー。

あとで「わすれてください」と言ってたけど、忘れないから!ぜひ寄席で!
これ、速記で見つけたらしいんだけど、ほんとに速記本に「うぇーい」って書いてあるらしい。
「うぇい」がやりたくてやったようなもん、と言っていた。最高。

さん助師匠「雪の地蔵堂~西海屋騒動より~」
連続物でやっている西海屋騒動、いつか相関図もあらすじもなしである部分だけ切り取って寄席でかけたい、というさん助師匠の野望への挑戦、ということで、幼子の義松を連れて大雪の中、お照が出奔するシーン。
親切そうな馬子に声をかけられて最初は断るもののどこの宿屋でも断られ弱り切っていたため、義松を連れて馬子の家へ付いていく 。
自分の身の上を話すお照に、馬子・辰五郎も妻とのなれそめなどを話す。
疲れ切ったお照が寝入ると、夫婦はひそひそ話。実は二人は追いはぎで身なりのいいお照に目をつけ最初から殺すつもりで連れて来たのだった。
妻のお山は自分たちにも同じぐらいの年の子どもがいることもあって、子どもだけは助けてやってくれと辰五郎に頼む。辰五郎は最初は「今まで何人もの命を奪ってきていまさら…」と言うのだが、最後にはお山の言うとおりにする、と言う。
夫婦の会話を聞いたお照は、義松を連れて壁の穴から逃げ出し、ようやく地蔵堂を見つけここに隠れていれば助かる…と思ったのもつかの間、先回りした辰五郎に見つかり、無残に殺される。
義松にも手をかけようとしたところ、「御用」という声を聞き、辰五郎は逃げていく。

雪と血しぶきの表現とかが印象的ではあるけれど、やっぱりちょっとまだ完成度は低いかなぁ…。
人物の相関がわからないと「???」って感じだし、とにかく嫌な話だからなー。
これを寄席のトリでかけたら、いや~な気分で帰ることになるよなぁ…。うーむ。


さん助師匠「御慶」
めでたい夢を見たからその番号の富を買うんだといさんででかけた男。
すでにその番号は買われちゃったと聞いても「それおれの番号なんだから!」と言い張る。この言い張る顔が漫画みたいで笑っちゃう。
そして「ぎょけいっ!」のおたけび。
御慶やるって聞いた時からきっとそうだろうと思っていた通りのばかばかしさ。楽しい!

ちょっともたもたっとしたところもあったけど(笑)年末に御慶聴けるって幸せだなー。
楽しかった。