りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

7/31(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」へ行ってきた。
 
・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十回「お静の間夫」
~仲入り~
・さん助「三助の遊び」
・さん助「夏の医者」
 
さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十回「お静の間夫」
いつものように立ち話から。
 
地元の水戸で寄席形式の会がありPRのための動画撮影があって同じく茨城県出身の講談の神田真紅さんと二人で行って来た。
簡単な台本を渡されて「この通りじゃなくてもいいので、何か思いついた面白いことをおっしゃってください」と。
 
台本があってもちゃんと話せないのに、何か面白いことをと言われても…不安な気持ちでいると、「じゃまず真紅さんから」と。
真紅さんはニツ目だからと、さん助師匠に気を使ってくれたらしい。
 
が、真紅さんがとてもうまい。
講談師だから口調もいいし、さらに短い時間にまとめるのがとてもうまくて、聞いてみたらなんでもラジオ番組をやっているらしく、慣れているのだった。
担当の人も「すばらしい!一発OKです」。
 
そしてさん助師匠の番になったのだが、案の定、噛むわ間違えるわもやもやするわ…何度もやり直しになり最後は「ま、いいでしょう、これで」。
「一発OK!と、ま、いいでしょう、には心が折れました」。
 
…ぶわはははは。
カミカミのさん助師匠が目に浮かぶわ。最高。
 
そんな立ち話から「西海屋騒動」第十回「お静の間夫」
左一郎を失ったお静は品川の遊郭・土蔵相模で遊女となるが、その美貌からたちまち評判になり、絵草紙に描かれるほどに。
お静を贔屓にする客が多い中、お静がいい仲になったのが、名前も素性も名乗らない男で、お静はその男に夢中になる。
その男が、西海屋の主である宗太郎がお静に夢中になっているという噂を聞きお静に確かめると「身代を倒すぐらいの勢いで通ってきている」と言う。
「あいつから金を巻き上げるだけ巻き上げてその金でこの仕事から足を洗って、お前と女中と猫の4人暮らしをすることが夢だ」と語るお静。

そうとは知らない宗太郎は、毎夜のようにお静のもとに通い、金を湯水のように使っている。
ある日海鮮問屋の寄合があり、それには主人が自ら来なければならないというお達しがあった。
清蔵は小僧を船宿に使いにやり、源次という船頭に土蔵相模へ宗太郎を呼びにやってほしい、と頼む。
源次が約束通り土蔵相模を訪れると、ご機嫌の宗太郎は「駆けつけ一杯だ」と源次に酒をすすめる。
源次が「こんなうまい酒は飲んだことがない」と言うと宗太郎は酒を畳にわざとこぼし「そんなにうまいなら畳を吸え」と嫌味なことを言う。
お静が源次に「ここで飲んでも気づまりだろうから、いつもの店に話をつけてあるからそちらで飲んで時間をつないで」と言うと、「そうさせてもらいます」と源次。

時間になって源次が土蔵相模へ行くとへべれけによぱらっている宗太郎。
船に敷いておいた蒲団に宗太郎を寝かせて漕ぎ出した源次だが、船を両国橋の近くの百本釘にとめると、用意していた刀で宗太郎を殺してしまう。
源次はある男と100両で宗太郎を殺す約束をしていたのである。
源次が待ち合わせした鉄砲洲の河岸へ行くと、そこには頭巾をかぶっている謎の男。
「約束の金を」と言う源次に男は「わかった。」と言って懐に手をやるのだが、源次のすきをねらって刀で斬りつける。
この男が誰なのかは次回明らかに…。

…ひぃー。
源次っていい感じに出てきたのに、あっという間に人殺しになって、そしてまたすぐに殺されちゃったよー。
もう出てくるの悪いやつばかり…。
唯一、船宿につかいに行く小僧がいい味出してたけど、あれは原作通りなのかあるいはさん助師匠の創作なのか。
船宿のおかみに上がるように言われると「私はそののち番頭になりますからそうした暁には店に上がります」と言ったりして、壮大な野望を語るのがおかしかった。
さん助師匠「三助の遊び」
この日、「夏の医者」をネタ出ししていたんだけど、まだ時間があるので、ということで「三助の遊び」をやります、とさん助師匠。
鈴本でさん助師匠が「三助の遊び」という噺をやったというのをtwitterで見て、すごい気になっていたのだ。うれしい~!


三助という職業、もうお分かりの方が少なくなってしまいました。
平成2年ぐらいまで日暮里に現役の三助がいらっしゃったみたいですが、その方もやめてしまって今はもういないですから仕方ないです。
お風呂屋さんで400円払うと三助が背中を流してくれたんですね。
でももともと三助っていうのは背中を流す人のことを言ってたわけではなくて、お湯屋の番頭さんのことを言ってたみたいです。
 
先代のさん助師匠は出てくると「さん助です」と名乗った後に「みなさんの背中を流そうっていうわけじゃありません」と言って、毎回爆笑だったんですけど…今やると…こうなりますね(しーん)。
先代のおかみさんには「あのセリフ使っていいわよ」って許可をいただいているんですが、そういうわけで使ってません…。
 
で、この「三助の遊び」っていう噺。
前に楽屋で雲助師匠に「あんちゃん、三助の遊びはやらないの?」って聞かれたんです。
やりたい気持ちはあったんですけど、志ん生師匠がやられているので古今亭の噺なのかなと思って、それでやるのをためらっていて。
そのことを雲助師匠に言うと「いいよ。何か言われたら俺がいいって言ったっていいな」そう言われまして。
だから勝手にやってるわけじゃないんです。
 
…くぅーー。雲さま、素敵。
 
三助が町を歩いていると幇間の次郎八が「こんな昼間にうろうろしてるなんて珍しいですね」と話しかけてくる。
実は釜が壊れてしまったのだ、と三助。
それで昼寝でもするべーと寝ていると客が入って来ては「今日は休みかい?」と聞いてくるので「いや、釜が壊れて早じまい」と答えるのだが、またうとうとすると客が入って来て…の繰り返し。
おちおち昼寝もできないとこうして出てきたのだ、と三助。
「だったら一緒に吉原に行きましょう」と次郎八が言うと「いやよそう。三助ってわかると花魁が相手にしてくれない」と三助。
「そこは私にお任せを」と次郎八。
大店の若旦那ということにして私がうまくやりますから、と。
 
それならいいだろうと二人で出かけていくのだが、いざ御しけになって女を待っていると、花魁の噂話が聞こえてくる。
花魁の符丁や言い回しが全て「お湯屋」を連想されることばかり耳に入ってくるのでそのたびに「三助ってばれてしまった!」と大騒ぎして次郎八を呼びつける三助。
ようやく花魁が部屋に入ってきたときには…。
 
…すごくばかばかしくて楽しい~。
名前にちなんだ噺だし、寄席でもどんどんやってほしいな。
最近さん助師匠が新しくやる噺がどれも私好みでうれしくなっちゃう。
 
さん助師匠「夏の医者」
前に金馬師匠と里光師匠で聴いたことがある。大好きな噺なのでうれしい!
 
田舎ののんびりした空気の流れが感じられてすごく心地よくて楽しい。
うわばみに飲まれてものんびりしている医者がいいなぁ。
山の頂上で一服する場面が大好き。
この先生、医者の仕事より畑仕事に精を出してるんだよね。かわいい。
 
そしてなにより笑ったのが、腹下しを飲まされて弱り切ったうわばみの様子。
いやもう最高。この間の狐といい、うわばみといい、さん助師匠の動物(化物?)、おかしすぎ!
楽しかった~。