りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

煽動者

 

煽動者

煽動者

 

 ★★★★

“人間嘘発見器”キャサリン・ダンス捜査官が「無実だ」と太鼓判を押した男が、実は麻薬組織の殺し屋だとする情報が入った。殺し屋を取り逃がしたとして、ダンスは麻薬組織合同捜査班から外され、民間のトラブルを担当する民事部に異動させられた。そこは拳銃の携帯も許されない窓際―彼女に割り当てられたのは満員のコンサート会場で観客がパニックを起こして将棋倒しとなり、多数の死傷者が出た一件だった。だが現場には不可解なことが多すぎた。観客は会場の外で焚かれた炎の煙で火事だと誤解し、殺到した非常口はトラックに塞がれていたのだ。この惨事は仕組まれたものではないか?人々を煽動し、死へと走らせる何者かがいる。独自の捜査を開始したダンスだったが、犯人はまたもや死の煽動工作を実行した!卑劣きわまりない愉快犯。そして麻薬組織の殺し屋をめぐる捜査。尋問の天才キャサリン・ダンスを二つの難題が追いつめる。二度読み必至、読者に背負い投げを食わせる好評シリーズ第四弾!  

読メを見るとわりと辛口の感想が多いようだけど私は面白く読んだ。
キャサリン・ダンスものはあんまり期待しないで読むせいなのかもしれないが。

パニックを利用した殺人者って…すごくリアルで怖い。
確かに集団になると人間性が失われるということはあって、狭い場所に閉じ込められたり出入り口が1つしかないところで「火事」になったりしたとき、我先にと殺到して、それまでフツウだった人たち(自分も含めて)が、暴徒と化してしまうというのは想像できる。
「煽動者」というタイトル、うまいなぁ!と思う。

警察側の視点と犯人側の視点が語られるいつものスタイルだけど、お互いに「出し抜かれる」時のスリルは相変わらず楽しい。

キネシスクというもの自体に、ほんとに?そんな当てにできるもんじゃないんじゃね?という印象があるだけに、最初の展開には「あーやっぱり!そういうこともあるよね」となる。それが最後まで読むと「そうきたか!ディーヴァーめっ!」となる、この楽しさ。

やーやっぱり楽しいなぁ、ディーヴァー作品は。この徹底したサービス精神。ブラボーとしかいいようがない。楽しかった。