りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

三笑亭可龍十番勝負~第六番勝負は雷門小助六さんと~

3/16(木)、道楽亭で行われた「三笑亭可龍十番勝負~第六番勝負は雷門小助六さんと~」に行ってきた。
前から寄席で見ていて、会に行ってみたいなと思っていた可龍師匠。大好きな小助六師匠をゲストに招いて二人で二席ずつとあったので、これは行くしかない!と小助六師匠ファンのお友だちを誘って行ってみた。

 

・可龍「宮戸川(上)」
・小助六「百年目」
~仲入り~
・小助六「擬宝珠」
・可龍「片棒」


可龍師匠「宮戸川(上)」
ここに来るとき、銀座線で着物を着た男性二人と同じ車両でした、と可龍師匠。
一人はお茶の先生?みたいな雰囲気だったんだけど、もう一人がどう見ても堅気じゃない。といって噺家っぽくもない。
黒い着物に赤い羽織。しかもその赤がラメが入っていてキラキラしてる。羽織紐にはビーズが付いていてキラキラ。
これはいったい何者だろう??と思っていたら…その人たちとこのあたりまで一緒でした…。

道楽亭があるのは新宿2丁目。
ということはおそらくそこのお店のおにいさん?
さすが、可龍師匠。普通に会に来るだけでそんな面白い目にあえるなんて(笑)。

そんなまくらから「宮戸川(上)」。
お花ちゃんがいかにも可龍師匠らしくちょっと蓮っ葉で現代的な感じ。面白いけど正直あんまり好きじゃない、かなぁ。この噺自体が、ね…。
でも途中に圓丸師匠の物まねがちらりと入ったのがもうツボで。本当にそっくりだった!


助六師匠「百年目」
同期と紹介された小助六師匠。同期と言っても自分が入った時、可龍師匠はたて前座で自分はお茶くみ、一番のぺーぺー。正直あのころは兄さんが怖かった。
でもいざ自分がたて前座になってみると、確かにお茶くみの子たちっていうのは気が利かなくて動かすのが大変で、ああ、あの時兄さんはこういう風に自分のことを見ていたのか、ってわかりました。

そんなまくらから「百年目」。
店の若い者たちにガミガミ言って、迎えに来た一八を邪険にして、舟の上でも障子をしめろ!見つかったらどうする!と周りの目を気にして、だけどお酒を飲んだら気が大きくなってはしゃいで鬼ごっこ。
そんな番頭さんが小助六師匠に重なって見える。
大旦那に見つかってから番頭さんが部屋で着物を脱いだり着たりするのもすごくリアルででもなんかとってもおかしいし、笑いどころもたっぷりあってすごく楽しい。

うわーーー。なんかすっごくいい!
この噺って若い人がやるとなんかちょっと背伸びしている感があるんだけど、小助六師匠には全くそれがなくて、番頭さんもチャーミングだし、大旦那もユーモアがあっていかにも大店の大旦那らしくて…かといって泣かせるぞーというところもなくあっさりしていて、だけど大旦那に受け入れてもらえた嬉しさも伝わってきて、じーん…。感動。


助六師匠「擬宝珠」
猫好きで知られる小助六師匠だけど、実はちょっと猫アレルギーがあって…というのは知らなかった。
家でも猫にデレデレじゃなくツンデレっぽく接しているっていうのが、いかにもキャラに合っていておかしい。
そんなまくらから「擬宝珠」。「擬宝珠」といえば、喬太郎師匠と文治師匠でしか見たことがないんだけど、くまが若旦那を見舞うところで「え?女の子のことじゃない?ってことは崇徳院じゃないな」、「え?みかんでもない?じゃ千両みかんでもないのか」というのが、落語おたくの小助六師匠にぴったりでおかしい!

前半がたっぷりだったからごくあっさりした「擬宝珠」だったけど、テンポがよくて展開も早くて楽しかった。


可龍師匠「片棒」
あの「擬宝珠」っていうのは芸協だと他には文治師匠ぐらいしかやってなくて、小助六さんが持ってるってことはネタ帳で見て知ってたんですけど見たのは今日が初めてで…。驚きました。文治師匠がやるとあんなに気持ちの悪い噺が、小助六さんがやると全然気持ち悪くないっていうのに。こんな噺でもきれいなんですね。

ぶわははは!そういえば前に見た文治師匠の「擬宝珠」はとても長くて、確かになんか気持ち悪かった(笑)。

自分は小学生のころから落語が好きで落語番組をテープに録って集めるみたいな子だったから、一番の趣味を仕事にしてしまって趣味がなくなってしまった。こういう世界に入ったせいか、逆に趣味は和じゃないほうに惹かれるようになって、一時期ロイヤルコペンハーゲンのカップを集めたりしてました。

…に、思わずぶわはっ!と吹き出すと、「そこ、笑うところですか?」と言われちゃった。すすすみません。でもなんかやっぱり面白い、可龍師匠がロイヤルコペンハーゲンを集めてるって。
寄席で見ていて、なんか気になるなぁ、いったいどんな人なんだろう、自分の会だときっともっと自分のことを話してる気がするから見に行ってみたいなぁと思って来たんだけど、そんな自分をほめてあげたい。ほら、やっぱり面白い!って。
あー楽しい。

そんなまくらから「片棒」。
これがほんとに楽しかった。特に銀さんの笛や太鼓のリズム感が抜群で楽しい!
そしてしゅっとしていてきれいな芸を目指していると言いながら、時々ひょいっとすごく現代的なクスグリが入るんだな。え?そこ?みたいな。そこに攻撃性を感じてちょっとどきっとする。

楽しかった~。