りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小満んの会

1/13(金)、お江戸日本橋亭で行われた「柳家小満んの会」に行ってきた。
二カ月に一回行われているこの会、毎回行きたいのはやまやまなのだが、他の会や寄席と重なったりしてなかなか行けない。
今年はこの会と関内ホールの会、できるだけ行きたいなぁと思っている。


・寿伴「真田小僧
・小満ん「成田詣り」
・小満ん「一刀成就」
~仲入り~
・小満ん「うどんや」


小満ん師匠「成田詣り」
酉年にちなんだ川柳や小噺。
上野動物園の売店をやってる方とお知り合いになってその方から聞いた話。
縁日で買って来たひよこが無事に育って雄鶏に。毎朝元気に鳴くのだがアパート暮らしなので近所に迷惑だろうと思い、子どもの学校に寄付することに。
数日後、校長先生から丁寧なお礼状が届いた。「いただきました雄鶏ですが、大変美味しくいただきました」。

それから漫画家の先生と知り合いになったのだが、そこでもやはり縁日で買ったひよこが育ってこちらは雌鶏に。
鳴く心配はないのだが糞に悩まされ、鶏におむつをして飼うことに。時々は首輪をつけて散歩に連れて行ったりしてご近所でも評判に。
旦那さんの方がこの鶏をとても可愛がって夜も自分の布団で一緒に寝ていたのだが、この鶏が卵を産んだもんだから奥さんが「亭主が鶏とできちゃった」と大変な焼きもち。
相談を受けた仲人さんが「鶏は無精卵だから」と説明したのだが「いいえ、あの人は手が早いんです。私の時もわからないうちにされたんですから」。この話を聞いた小満ん師匠が、なんて面白い奥さんだ!ぜひともお会いしてみたいというと、この奥さんはスナックをやってるからと教えてもらった。
訪ねてみると、奥さんが奥にいるおばあさんにああだこうだとガミガミ言っている。どうやらこのおばあさんがお姑さんらしいのだが、かなりきつい口のききよう。でもお客には「あーらいらっしゃい」と色っぽく。
鶏の話を聞いてみると「そうなんですよ。ほんとにうちの亭主は見境がないんだから」と、冗談なのか本気で信じてるのかわからない口調で言った、と。

いやぁもうおかしい~。
こういうことをにこにこと笑顔でお茶を飲みながらのんびり話されるからもう楽しくて楽しくて。
満員のお客さんたちが、子どもの頃に面白い話を聞かせてくれるおじさんのまわりに集まったみたいに、みんなキラキラした目で一心に聞いているのがたまらない。

お伊勢詣り、大山詣りについて話をしたあとに「もっと安直だったのが成田詣り」といって、「成田詣り」へ。
出入りしている店の主人の成田詣りにお供で行くことになった棟梁。お詣りに行く前日の夜、夜なべ仕事をしているおかみさんに「そんなのもうやめて布団に入ろう」と誘う。
明日の朝は早いから一番鳥が鳴いたら出かけなくちゃいけないから、と言う亭主なのだが、おかみさんはなかなか布団に入ろうとしない。
明日は早いんだ、一番鳥が鳴いたら出かけるんだ、7日間は帰ってこないんだ、だから「お暇乞い」をしないといけないんだ、と亭主。
気を残しちゃいけないとか生きて帰れないかもしれないと言って、誘っているのだ。

おかみさんが「亀(子ども)がまだ寝てないから」と言うと、「ほんとか?おい、亀」と亭主。すると亀が「あいよ!」。
「早く寝ろよ」と言うと「あいよ!」。
ほらもう寝たよ、と亭主が言うと「まだ寝てないよ」。
「まだ寝てないのか」「あいよ!」

サゲも下ネタで、くだらな~い(笑)。
あとで小満ん師匠が「バレ噺」と言っていたけど、なるほど~。面白かった。


小満ん師匠「一刀成就」
初めて聴く噺。
花魁のお蘭と駆け落ちした刀職人。まだ修業中の身の上だったので、師匠にも顔向けできなくなり親からも勘当され、田舎で鍛冶屋に身を落としている。
酒代も払えないような暮らしに文句を言いながらも惚れた弱みなのか、亭主のために嫌味を言われながら酒を都合してくるお蘭。酒が入って気が大きくなった亭主は「機会があれば刀を作ってみせる」と語る。
そんな話が耳に入ったのか、ある時領主に呼び出され、間に入ってくれた庄屋と出かけていくと、自分のために刀を作ってくれ、と言われる。前金として五十両を渡されて「名誉なこと」と大喜びの庄屋と、一方浮かない顔の亭主。
話を聞いてお蘭が喜ぶと「あの時は酒を飲んで大口を叩いたが、ほんとのことを言うと修業はしていたけれど刀を作ったことはない。大金を積まれたってこんな自分に刀なんか作れるはずがない」と泣き言を言う。
それを聞いたお蘭。「いいじゃないか。どうせあたしたちは駆け落ちした身なんだから、一度逃げるも二度逃げるも同じ。」と言い、酒を買ってきてその晩は二人で飲み床につく。
様子をうかがいに来た庄屋が声をかけると、まだ寝ていた亭主。起きてびっくり。五十両を手にお蘭は家を出てしまっていた。

事情を聞いた庄屋が、自分も間に入った手前があるから五十両は自分が用意する。その金で材料や手伝いを雇って意地でも刀を作り上げろ、と言う。
弱音を吐いていた亭主も、だめでもともとやってみるかと一念発起し、3年かけて刀を作り上げる…。

亭主に惚れているようだったお蘭。きっと刀が出来たという評判を聞いて帰ってくるんじゃないかな、と思って聞いていたんだけど、帰ってこず…。ええええ?そういう噺なのーとちょっとびっくり。

原作は幸田露伴の「一口剣 」という短編だとか。
古本屋で100円で買った本にこの話が載っていて、面白いと思って落語に仕立てたと…。
こんな噺を聴かせてくれるから、お話好きにはたまらないんだよなぁ…。


小満ん師匠「うどんや」
酔っぱらいの酔っぱらい加減がすごく良くてもうなんなのこれはと身悶えしたくなるほどの楽しさ。
みー坊の婚礼の話の繰り返しがくどくなくて、でも酔っぱらいのめんどくささが出ていて、たまらなくおかしい。
うどん屋に「如才ねぇな」と言ったり、突っかかったと思えば謝ったり、その加減がなんともいえず魅力的。

風邪ひきの客も最初からちゃんと風邪ひきらしくて、うどんを食べるところも短めで、いいなぁ。ほどがいいんだよなぁ…。
とても楽しい「うどんや」だった。この噺がこんなに面白いなんて。