球形時間
★★★
鋭くも愚かしくも聞こえる問いをつねに発している高校生サヤは、ある日の放課後、喫茶店で謎のイギリス女性と出会ってひきつけられる。クラスメートのカツオは、フィリピン人の混血少年と性関係をもちつつも、太陽を崇拝する青年への興味を抑えられない。あっちへこっちへと転がりながら、はからずも核心へと向かってゆく少女と少年の日常を描く、愉快かつ挑戦的な最新長篇。
よくありがちな高校生の日常をベースにしながらも、生理的に嫌だったりざわざわと心が泡立つようなエピソードがそこかしこに散りばめられているのでなんだかものすごく気持ち悪い。
軍隊っぽい教師とか母親の色を失った目とか同級生の写真を切り刻む女子とか日の丸と処女の対比とか…。
色覚的だからイメージが頭にこびりついて離れない。
だまし絵のようなちょっとねじくれた世界。これはリアルなのか幻なのか。願望や欲望や想いが現実をゆがませてしまったような…。
なんだろうなぁこの小説。何かきっと意図があるんだろうとは思うけれど、あまり好きではない世界だった。