りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

10/17(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。


・さん助「しの字嫌い」
・さん助「天災」
~仲入り~
・さん助「血煙の御所車 西海屋騒動より」

 

さん助師匠「しの字嫌い」
前回よりお客さんの人数が減ったことについて「噺が陰惨ですからね…」とさん助師匠。
「でもやると決めたからにはやりますよ。たとえお客さんが0人になっても」。
いや、あたしは来るぜ。来続けるぜ!そう思っていると「最後まで残ったお客さんは…よっぽどの変わり者か精神に疾患があるか」。
…ってひどいじゃない(笑)!

とにかく噺が複雑なのでこれからは前回までのあらすじと人物相関図をお配りします、と。
わーい!それはありがたい!
なにせすぐに誰が誰かわからなくなっちゃうから。
仲入りの時とか帰りの電車の中でちゃちゃっとメモするんだけど自分のメモの字が汚すぎて読めないことも多いし。帰りは酔っぱらっててメモ書けないことも多いし。

そんな話のあとに「私二か月に一回ぐらい歯医者に行って検診を受けてまして」とさん助師匠。
若い女の歯科衛生士さんに虫歯のチェックや歯磨き指導をしてもらうのが無上の喜びらしいのだが、その時に毎回レントゲンを撮る。
この間は助手の女性が担当だったんだけどレントゲンを撮るときに「頭を乗せてください」と言った後にさん助師匠の頭を見てはっとして「あ、おでこを乗せてください」と言い直したかと思ったらまた「あ、ええと、頭を…」と言い直した。
それを聞いて先輩がやってきて「あなたはっきり言わないとだめでしょ」と言ったあとにさん助師匠の頭を見てまたはっとして「あ、ええと、頭と思うところを乗せて下さい」
…おまえが一番失礼だよ!

ぶわはははは。
もうこの話がツボで笑いが止まらない。おかしくておかしくて。

そんなまくらから「しの字嫌い」。
うおお。珍しい噺。三三師匠で一度聞いたことがあったっきりだ。

「し」という文字は忌み言葉だから使ったらだめだと権助に言う旦那。
権助に言い返されてむきになり、権助が「し」を使ったら給金なし、旦那が「し」を使ったら権助がほしいものをなんでもあげる、という約束をする。
なんとかして権助に「し」を言わせようと旦那があれこれ悪だくみをする、という噺。
勝負に入ってほどなく旦那のセリフに「し」が入っていて、あれ?この場合はいいの?なんて思っていたら、噺が終わってから「ワタシ、最初の方で”し”使っちゃいましたね」とさん助師匠。
この噺ニツ目の時に覚えてその時もやったらやっぱりしくじってそれ以来やってなかったんですけど、今日はいけそうな気がしてたんですけどやっちゃいました」と。

まるで宮田陽・昇先生のネタみたいだ!
「俺、算数得意なんだよ。秋田の天才少年って言われてたんだから」
「ほんとかよ」
「そうだよ。円周率100桁言えるから」
「それはすごいな。やってみて」
「うん。…3.24…」
「最初で間違えちゃってるけど!」
ってやつ。
いつか寄席でやってほしいなー。


さん助師匠「天災」
「天災」も大好きな噺。
自分の母親のことを「ばばあ」呼ばわりするくだりとか、八が先生に教わって満足して「おれはてんせぇをこころえちゃったんだから」と喜ぶところとか、ばかばかしくて憎めなくて大好き。
さん助師匠の八五郎はチャーミングで楽しかった!


さん助師匠「血煙の御所車 西海屋騒動より」
花五郎に半殺しにされた権次を妹のお雪が訪ねてくる。
最初はこんな姿は見せられないと言って姿を見せずにいた権次だったのだがお雪に説得されて布団から這い出して来る。
その顔は陥没し目は落ちくぼみひどい有様。
それを見たお雪は「なんてことを…」と花五郎への恨みを募らせる。
自分はもう長くはないだろうと気弱になった権次は最近昔のことばかり思い出すといって、親を亡くしてから兄妹で食うものも食えず物もらいをしても近所の人たちも冷たくお雪が体を売ってこしらえたお金で握り飯を食べたことを語り、この兄妹は強い絆で結ばれているということが伝わってくる。

妹は兄に「ところで兄さん、あの件だけど伴蔵が…」と耳打ち。
伴蔵というのはお雪の旦那(お雪は妾)で町奉行をしている男。
何か悪だくみをしていることをうかがわせる。

その権次が亡くなったと聞いて葬式にやってくる花五郎。
「のこのこやってきやがって」と息巻く子分を窘めたのはお雪。
花五郎に向かって「来てくれただけでありがたい」と言って座敷にあげる。
権次が亡くなったと聞いて自分はやりすぎてしまったと思い後味が悪く、お雪に気が済むまで自分に恨みをぶつけてもらおうと思ってやって来たという花五郎に向かい、お雪は「兄さんはいつかああいう死に方をするんじゃないかと思ってましたから気にしないでほしい」と語る。

それから1か月後、花五郎が夜道を歩いていると「曲者!」という声が聞こえ、いきなり捕えられる花五郎。
何の罪でとらえられたのかも分からないのだが、自分を捕まえた男が油断したところを反撃に出た花五郎が命乞いをするその男の名前を問うと目明しの現蔵という伴蔵の手下であることがわかる。そして実は権次は死んではおらず、権次とお雪が伴蔵の力を利用して花五郎を捕らえ殺そうとしていることを知るのである。

捕えられたふりをして伴蔵の屋敷にやってきた花五郎は、女中たちの噂話から、お雪が「花五郎にこの世の地獄を見せてやる。一気に殺してなどやるものか。花五郎の母親がまだ生きているからこれを捕まえてなぶりものにして、その様子を見せてやる。」と言っていることを知る。

そろそろ花五郎が連れてこられるだろうと油断している伴蔵、権次、お雪がいる部屋に入って行った花五郎。
3人を殺し(ここが「血煙」)これで伴蔵の悪政も終わりだとその血で花五郎が殺したということを書き残すのだった。

…だったかな。
次回、あらすじをもらってから書き直すかも。なにせ記憶がもやもや…。

陰惨と聞いていたから覚悟していたんだけど、第一話目で金五郎を殺した時の「え?なんで?」よりはまぁ納得がいったというのもあったし、「血煙」のシーンが結構かっこよくてそれも見ていて楽しかったので、第一話よりは私はずっと楽しめた。

花五郎の話は次回が最終回ということなので、どういうことになるのか楽しみ。


「さん助ドッポ」今後の予定
11/28(月) 、12/26(月) 、1/30(月)  開演 19時(18時半開場)  お江戸両国亭

「さん助ドッポ」11/28(月)


子どもの夏休みの宿題のような素敵な相関図(笑)

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