りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

立川談吉☆柳家緑太の会

10/8(土)、連雀亭で行われた「立川談吉柳家緑太の会」に行ってきた。
談吉さんは前に見て「面白い!」と思ってもっと見たいなと思っていたし、緑太さんも何回か見ていて好きなタイプの噺家さんだなと思っていたんだけど、なんか意外な組み合わせ。接点があるのかなと思っていたら、なんとこの日が「はじめまして」という二人。ほぉー。


・トーク(談吉、緑太)
・緑太「持参金」
・談吉「蝦蟇の油」
・緑太「死神」
・談吉「粗忽長屋


トーク(談吉さん、緑太さん)
初対面ということで探り探りのトークだったんだけど、まじめできちんとした緑太さんとからっと明るい談吉さんの噛みあっているようないないようなトークが楽しかった~。
落語協会の人で仲のいい人とかいますか?と緑太さんが聞くと「いないねぇ…俺親しい噺家っていうのがそもそもいないんだよな。…孤独だな、おれ!」と談吉さん。
でも噺を習ったりっていうのはないのか?と聞かれると「ああ、馬好師匠には結構教わってる」「あの師匠の落語は絶品よ!」と談吉さん。
「馬好師匠!!」とその名前のレア感に反応する緑太さんなんだけど客席はちょっときょとん。
それもそのはず。馬好師匠って寄席にもめったに出てないのだ。
だけど後でこのブログ検索したら私、先代馬生の会で二回見てた!すごい覚えてる。風貌がすごい強烈でぎょっとしたんだけど今まで聞いたことがないような「初天神」でいろんな意味で度肝を抜かれたんだった。

その馬好師匠に噺を教わりに行っているんだから談吉さんもアナーキーな人だな…。
稽古をつけてもらう時に手土産を持って行くんだけど、その時は500ml缶のビールを半ダース持って行った談吉さん。稽古が終わると二人でそれを全部飲んでその後師匠の家の冷蔵庫に入っていた缶ビールも全部飲んで「じゃちょっと公園行こうか」と言われて公園に行ってコンビニで買った半ダースのビールも全部飲んでまた追加で買いに行って飲んだ、と。
「飲みすぎでしょ!」と言っていたけど、いやほんとにすごい。
「どんな師匠かっていうと…話をするとき顔が近い。これぐらいの距離」と手を顔の真ん前に持ってきたのがおかしかった。


緑太さん「持参金」
三三師匠からいただいた仕事で小田原に行っていたという緑太さん。会を仕切っているおじさんがいてこういう人には逆らっちゃいけない…とドキドキしているとこれが三三師匠のお兄さん。
会の後に音響を担当していたきれいな女性と三三師匠が親しげに話をしていて「おいおいいい雰囲気じゃないか。やばいんじゃない?」と羨ましく見ていて後で師匠に「きれいな方ですね」と言うと「お?好み?紹介しようか」と言われ「え、ほんとですか?じゃぜひ!」と言うと「あれ、俺の妹だけどね」と。
そんなまくらから「持参金」。おお、この女性に嫌がられることの多い噺を敢えてか!と思って聞いていたんだけど、緑太さんの「持参金」はケロッとしてるというかさっぱりしていて嫌な感じが全然しない。カラっと楽しい「持参金」だった。


談吉さん「蝦蟇の油」
ここのところ土日は仕事が入ってるけど平日が結構暇だった。だから家にいてテレビばっかり見ていたんだけど…。家にばっかりいちゃいけませんね。外に出なきゃだめ。ろくなこと考えない。と談吉さん。
そんなまくらから「蝦蟇の油」。噺に入ると突き抜けた明るさがあって堂々としていて口上も見事で気持ちがいい。
明るく剛毅な感じもあるのに、暗くて繊細なところもあって、なんかいいなぁ談吉さんって。もっといろんな噺を聴いてみたくなるなぁ。


緑太さん「死神」
花緑師匠がパワースポット好きで、地方の仕事に行くと神社とかその手のパワースポットにお供することがあるという緑太さん。
この間もとある神社に行ってそこの神主さんの話を聞いたのだが、よーく聞いてみるとフツーのことしか言ってなくて、しかも「殺生はいけない」という話をさんざんした後に、明らかに「ヤバイ」蜂が入ってくると神主さんがなんのためらいもなくその蜂を叩いて仕留めた、というのがおかしい。

そんなまくらから「死神」。緑太さんの「死神」は前に研精会で聞いたことがあったんだけど、すごくいい。雲助師匠の形なのかな。たった二日の出来事になっていてあっさりとしているんだけどそこはかとなく不気味で怖い。
この噺、すごくニンにあってるなぁ。すごくよかった。


談吉さん「粗忽長屋
ほんとは「大工調べ」をやろうと思っていたんだけど、考えてみたら噺が付いちゃう。「蝦蟇の油」も口上をすらすらーっと述べる噺だし、「大工調べ」も啖呵を聞かせる噺だし。啖呵ってこんな風に…とやったのがものすごく威勢が良くてかっこいい。思わず拍手をすると「ここだけやるのはいいですね。危なそうになったらやめればいいし」とにやり。
で、なにやろうかなと思って考えて大好きなこの噺にしました。と「粗忽長屋」。

入り方も面白かったけど、談吉さんの「粗忽長屋」はなんか今まで聞いてきたのとは一味違って(どこがどういうふうにと言えないんだけど)、時々入るクスグリとかに左談次師匠風味を感じることもできて、左談次ファンとしてはたまらない。
いいなぁ。前から好きだったけどこの会で見てもっと好きになった談吉さん。

また、この二人の組み合わせも絶妙ですごくよかった。2回目もありますように!