りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

異類婚姻譚

 

異類婚姻譚

異類婚姻譚

 

 ★★★★

子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたく ない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題 作ほか、自由奔放な想像力で日常を異化する、三島賞&大江賞作家の2年半ぶり最新刊!

 

夫婦というものをものすごくグロテスクに描くとこうなるのだな。家に帰ってきてまでめんどくさいことは考えたくないという夫と、違和感を感じながらも今の生活が楽だからという理由で思考を停止している妻。
最初はこの異常な夫婦関係は夫によるものだと思っていたのだが、後半を読むと、いやそうじゃないのかとも思う。

とにかく気持ち悪い話なのだが表現にユーモアがあるから思わず笑ってしまう。(顔が油断してバラバラになるっていうのには笑った)

好きじゃないけど嫌いでもなくてよく考えると結構好きな気もする。微妙な後味。