りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

浅草演芸ホール7月中席夜の部

7/19(火)、浅草演芸ホール7月中席夜の部に行ってきた。

・松之丞「雷電初土俵
・柳之助「家見舞い」
東京ボーイズ ボーイズ
・南なん「短命」
・伸治「棒鱈」
・正二郎 太神楽
・松鯉「小幡小平次

松之丞さん「雷電初土俵
久しぶりの松之丞さん。
前は成金メンバーの会によく行っていたんだけど、人気が出てきてなんか大変そうだなぁと思って足が遠のいてしまった。
特に松之丞さんは売れてるというのをあちこちで耳にしていたのだけれど、確かに前よりも吸引力がさらに上がってる!
笑いのセンスがあるのが強みだなぁ。
爆笑のまくらで「難しいんでしょ?」という講談のハードルをぐっと下げてくれる。これはすごい。

おそらく寄席ではよくかける演目なのだろう。緩急つけてまさに自由自在。思わず引き込まれて夢中になって聞いていた。
あとで思い返してみると、さほど大した話じゃなかった、と気づいてまた笑ってしまった。楽しかった。

柳之助師匠「家見舞い」
何度か見ている師匠。ご本人がおっしゃる通り、西郷隆盛に似てる(気がする)。
テンポがよくてメリハリがあって楽しかった!

南なん師匠「短命」
わーい、南なん師匠。この日浅草に行ったのは南なん師匠が見たかったから。
高座にあがるときにこちらを見てちょっとにこっとはにかんだような気がしないでもないでもない、きゃ~。(妄想力!)
いつものまくらじゃなくて「笑うのは大変よろしいそうです。たとえ愛想笑いでも。だから笑いましょ」。
笑え笑えと客席に強いられるのは苦手だけど、南なん師匠にそう言われるのは全くいやじゃない。やっぱり人柄なのかなぁ。

「おい、あそこをいくのは誰だ?」
「あれはたつんべのところのかみさんだろう」
「いい女だなぁ。前よりいい女になったんじゃねぇか?」
「ああ。後家になると女は急にきれいになるからな」
「そうなのか。じゃうちのかみさんにも早く後家になってもらおう」

もうこの小噺がべらぼうにおかしい。
なんだろう。いい女になったなぁという男の感心具合がほんとに実感がこもっていて、じゃうちも早く後家になってもらおうと本気で言ってて、思わずぶわはは!と笑ってしまう。楽しいなぁ。

そんなまくらから「短命」。
南なん師匠の「短命」は初めてでうれしい~。
察しの悪いくまさんがとてもかわいい。「え?なんでですか?」「たんめい?それはなんです?」「あ、指から毒?」「足と足が触れ合う…指から毒?」。南なん師匠が首をかしげてそう言うだけで笑ってしまう。

また家に帰ってきてから登場するおかみさんが…すごく激しくやってるわけじゃないのになんかとっても強烈で最高におかしい。
「なーにやってるんだよ、おまえさん!」
そのひとことでもう姿が浮かび上がってきてたまらない。
ご飯をよそうスピードも異様にはやいのがたまらなくおかしくて「おめぇしゃもじ使ってねぇな」と言われると「使ったことなんかないよ!」。
「使えよ」
「うるさいねぇ。じゃあ使うよ。だけどもう一生洗わないからね!」
洗わないからねっていうだけでなんでこんなにおかしいんだろう。
特別なくすぐりがあるわけでもなくむしろ結構刈り込まれているのに本当におかしい。
大好きだ、南なん師匠の「短命」。

伸治師匠「棒鱈」
この師匠も楽しそうでのびやかで大好き。
ぐずぐずの酔っ払いと隣の部屋の田舎侍。
最初から最後まで楽しくて笑い通しだった。

松鯉先生「小幡小平次
真打披露目以外で講談のトリを見に行くのは実は初めて。
大丈夫かなぁと思っていたんだけど、もう最初の語りから引き込まれてしまった。
いいなぁ、松鯉先生。
松之丞さんのように力で押すのではなく、地の語りはわりと淡々としたやさしい語り。それがだんだんストーリーが積みあがっていってクライマックスでがーーーっと盛り上がる。
途中で、あれ?楽屋の電気が消えた?もうお帰りの準備?なんてのんきに思っていたら、幽霊が登場するシーンで客電ががん!!と全部消えて真っ暗になってびっくり!!
思わず「ひぃーー」と悲鳴をあげるという思うつぼな反応をしてしまった。

怖かったけどすっごく楽しかった!今まで苦手意識のあった講談がまた少し好きになりそう。