りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

TWO 夏丸・萬橘二人会

7/1(金)、らくごカフェで行われた「TWO 夏丸・萬橘二人会」に行ってきた。

・夏丸「富士詣り」
・萬橘「酢豆腐
~仲入り~
・萬橘「無精床」
・夏丸「猫怪談」

夏丸さん「富士詣り」
前から見たいと思っていた夏丸さんをようやく見られた。
萬橘師匠とは同期という夏丸さん。かたやあちらは真打ですでに弟子がいる身。一方自分は…と。そうかでももうそろそろなんだな、真打になるのも。楽しみなようなちょっとさみしいような…。

「富士詣り」は以前夢丸さんで聞いたことがあったけれどそれ以来聴いてなかった。芸協の若手って珍しい噺を持ってる方がいてそこが好きだなぁ。
富士山を登っている途中で天気が悪くなり、先達さんに「こういう風に山が荒れるのは登っている中に禁を犯した者がいるときが多い」と言われ、懺悔を始める男たち。最も重い罪「邪淫戒」を破ったと懺悔する熊さんの話のばかばかしさがたまらない。

端正だけどとぼけたおかしみもあって好きだわ~。

萬橘師匠「酢豆腐
人間、心にもないことは案外言えないもので、結構正直にできている、と萬橘師匠。
とある会で自分の落語がウケなかったと落ち込んでこういう時は誰かに言って慰められたいと思っているところへ、前座からお礼の電話がかかってきた。ちょうどいいと思い「昨日オレすべっちゃったから」と言うと、前座はおそらく「そんなことないですよ。これ以上ないくらいウケてましたよ」と言うつもりだったのだろうが「これ以上ないくらいすべってました」。やっぱり思ってることは言葉に出ちゃうんだな、と。

そんなまくらから「酢豆腐」。
暑い暑いと言いながら兄貴分の家に集まる若い衆たち。兄貴は「なんでこんなに大勢で家に来るの?」「(狭い家に男どもが寄り集まっていて)近いよ」「暑苦しい」と、なんかその場面が頭に浮かんできてそれだけでおかしい。

上から目線で腹の立つ若旦那に腐った豆腐を食べさせてやろうと声をかけるんだこの奇怪な若旦那がぴったりはまっていておかしい。「〇〇でげす」という謎の語尾が、話が進むにつれて「〇〇でバス」「〇〇でブス」と変化していくのが意味不明なんだけどやたらとおかしい。

萬橘師匠「無精床」
床屋に入ってきた気のいい男が親方の思わぬ返答に「え?」といちいち驚く様子がおかしい。親方も実は腕がよくないという萬橘師匠独自仕様がまたおかしい。

夏丸さん「猫怪談」
初めて聴く噺。
育ての親が亡くなったのにぼーっとして気づかない与太郎。大家さんがそんなんじゃだめだと叱り、長屋の月番を呼びつけて、死骸を運ぶことに。
途中で早桶のたがが外れてにっちもさっちもいかなくなり、大家と月番が買いに行き、能天気な与太郎が死骸と留守番。

ちょっと不気味な噺だけれど、能天気な与太郎がかわいらしくて怖さよりおかしさが勝る。
こういう噺をこんな風に魅力的にできるってすごいな。もっと他の噺も聴いてみたい。