りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

黒門亭 2526回

5/2(土)、黒門亭 2526回に行ってきた。
小満ん師匠不足を解消しようと出かけて行ったのだが、行ってみると整理券を配っていてびっくり。
開場の5分ほど前に行ってみるとかなり人が集まっていて札止めになっていた。うひょー。

・小多け「手紙無筆」
・ぴっかり「表彰状」
・萬窓「五人廻し」
〜仲入り〜
・あずみ 三味線漫談
小満ん「天災」

小多けさん「手紙無筆」
小多けさんは小里ん師匠のお弟子さんらしい。
まじめな落語。声が低くて渋い。わりと淡々とやっているのだけど、手紙を読んでくれと言われて困った兄貴分が「夜じゃねぇから読めねぇ」。なんでだ?と聞くと「おれ、夜学を出てるから」には笑った。
渋く落語をやっているんだけど、時々自分もちょこっと笑ってしまうところがかわいい。

ぴっかりさん「表彰状」
出てくるなりお客さんの多さに驚いて「まぁ連休の初日こんなにお天気のいい中、こんなに大勢集まっていただいてありがとうございます」。
前にあがった小多けさんのことを「渋いでしょう〜?」とぴっかりさん。
小里ん師匠のお弟子さんなんだけどあそこでは「三遍稽古」というのをやっている。
最近はたいてい師匠がやってくれるのをICレコーダーなどで録音させてもらって家に帰ってそれを聞きながら台本に起こす、というやり方をとるのだが、小里ん師匠のところでは録音禁止。師匠がやるのを見てそれを真似して覚えるのだという。
「さっきそれを楽屋で聞いて思わず、すげぇ!って言っちゃいました」。

そんなまくらから「表彰状」。
初めて聴く噺。
新米泥棒が道にぼーっと立ってるおばあさんを邪魔だよ!と突き飛ばしたら、実はトラックにはねられそうなところを助けていて、表彰状をもらうことに。
兄貴分から俺たち泥棒がそんなもんをもらってどうする!と叱られた新米。
派手に喧嘩でもして留置所に入れられれば取り消しになるだろうと、前から来る目つきの悪いやつに因縁をつけて喧嘩になるのだが…。

パーパーした泥棒がぴっかりさんに合っていて楽しい。

萬窓師匠「五人廻し」
初めて見た噺家さん。ほんとにまだまだ知らない人がたくさんいるなぁ。
これがもうめっちゃくちゃ面白かった!笑った笑った。
一人の遊女が複数人の男の相手をするのが「廻し」。せっかく金を払ってるのに女を独占できないなんて…と思ってしまうのだが、江戸っ子は変なプライドがあるからそれで自分のところに一番に来たとかそういうのを楽しむ風習があったとか。
でも待っていたのに女が来なかったなんてこともざらにあるらしく、そういう時は店の若い衆が客の愚痴の聞き役になる…。

女がとんと来ないで待ちくたびれた男。
なんだよこんなに来ないとは思わなかったな。なんだと思ってるんだよ。タバコ吸いすぎて気持ち悪くなってきた。
ああだこうだと一人で愚痴をこぼすのだがこれがなんともいえずおかしい。途中で「あーー女房を大事にしよう。女房は廻しをとらねぇもんな。ていうかいやだな、女房が廻しをとったら。」には大笑い。
若い衆を相手にパーパー言うのだが実にバカバカしくて楽しい。
次に若い衆を呼んだのが侍。堅い言い方でああだこうだと文句をつけるのだが、これもまた結局のところせっかく金を払って来たのに女が来ないんじゃ…という文句なので、ばかばかしくておかしい。
それから、「○○でげす」とか言う妙にナヨナヨした男に、相撲取りに…。

出てくる男たちが個性豊かで情けなくてなんともいえず楽しかった。
好きだ、この師匠。

小満ん師匠「天災」
高座にあがるなり「いいですね、これぐらいの小さい会場は。私、大きい会場は苦手なんです。くたぶれちゃう。」そう言った後に「しかもウケない」とにっこり。
もうこの一言だけで多幸感に包まれてしまう。なんて素敵な師匠なんだろう。

「天災」は大好きな噺なんだけど、小満ん師匠の「天災」いい!!
結構なべらんめぇ口調なんだよな、小満ん師匠って。ちょっと低い声でパーパー言うのがなんとも言えずおかしい。
それに対するべにらぼうなまる先生の穏やかさがいかにも小満ん師匠らしく面白がっているような鷹揚さがあっていい。
もうこの二人のやりとりをずーーっと見ていたくなる。

帰ってきて早速くまの家に行ってやってみるのがどれもこれもでたらめなのが楽しい。
すごく楽しい「天災」だった。好きだ。