りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

禁忌

禁忌

禁忌

★★★★

ドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルク。彼は万物に人が知覚する以上の色彩を認識し、文字のひとつひとつにも色を感じる共感覚の持ち主だった。ベルリンにアトリエを構え写真家として大成功をおさめるが、ある日、若い女性を誘拐したとして緊急逮捕されてしまう。被害者の居場所を吐かせようとする捜査官に強要され、彼は殺害を自供する。殺人容疑で起訴されたエッシュブルクを弁護するため、敏腕弁護士ビーグラーが法廷に立つ。はたして、彼は有罪か無罪か―。刑事事件専門の弁護士として活躍する著者が暴きだした、芸術と人間の本質、そして法律の陥穽。ドイツのみならずヨーロッパ読書界に衝撃をもたらした新たなる傑作。

読み終わって分かったような分からなかったような、でも圧倒されてなんかよくはわからんけどすごかったー、というのが正直なところ。
とても読みやすいのに、時々「え?どういうこと?」「何があった?」と戻って読み直す。

弁護士でもある作者の芯となっている考えが述べられているのだとは思うのだが、そこが観念的すぎて私にはよくわからない。
この主人公がやりたかったこと、訴えたかったことも私には理解できなかった。
でも、自分が信じる真実に近付こうとする人は刑事や弁護士になっちゃいけないんだな、ということだけはわかった。

人間的に難がありそうな弁護士ビーグラーが、仕事にはいると途端に生き生きと魅力的になるのが面白い。
モヤモヤした物語のなか、ビーグラーの出てくるシーンはやけに爽快なのが面白い。
それは作者の願望なのかもしれないな、と思ったり。