りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

立川談幸の落語なじみ亭

3/21(土)、神田連雀亭で行われた「立川談幸の落語なじみ亭」に行ってきた。

・駒六「狸札」
・談幸「粗忽の釘
・談幸「鹿政談」
〜仲入〜
・談幸「百年目」

談幸師匠「粗忽の釘
今日、この会に来る途中、秋葉原の駅でトイレに入ったという談幸師匠。
男子トイレは列ができていて自分も並んでいたら、トイレからおばさんがスラックスを上げながら出てきた。男子トイレからですよ?
もしこれが逆だったら問題になりますよ。ちょっと前にありましたよね。女装した男がトイレに入ったっていう事件が。
でもおばさんならいいんですかね。まぁ確かにおじさんに近いおばさんではありましたが。わかるわかる。おじおばですね。それはいわゆる。

人には気性があってお客さんもそうですね。前の方に座りたい人、一番後ろに座ってお客の数を数えるのが好きな人、終わるとすぐに立ち上がって帰る人、こういう人は下手したらサゲの途中で腰を浮かせますね、それから全員が出て行ってからようやくよっこらしょっと立ち上がって「ほんとにもう何もないんだなと帰る人。
わはははは。そうだ私は前の方に座って終わると同時にさっさと帰るの党。

そんなまくらから「粗忽の釘」。
もうこれが楽しい楽しい。特別はしゃいだりギャグを入れたりするわけじゃないんだけど、キョトンとした亭主がかわいくて、それにあきれるおかみさんが怖いけど優しくて、あきれる隣の人が傍観者としておかしいし、もう笑いっぱなし。楽しい。

談幸師匠「鹿政談」
亡くなった米朝師匠の思い出。
米朝師匠の落語はとてもわかりやすくてきれいと言われているけど、よく見るととてもくさい。くさいというのはわざとらしいとか暑苦しいというのとは違う。落語がうまくないとくさくはできない。
自分で噺をさらっていてなにかしっくりこないとき、米朝師匠の落語を聞くと腑に落ちることがあるからとても勉強になる。
そんなまくらから「鹿政談」。
お奉行様に威厳があって品があってそこが素敵。
笑っちゃったのが奉行所に連れてこられる場面で、赤鬼青鬼と呼ばれる屈強な男が訴えられた人を大きな声で脅すところ。
これでたいていの人間は震え上がり…寝ている客はたいてい起きる。わははは。

談幸師匠「百年目」
これがもう本当に素晴らしくよかった。
口うるさくて他の奉公人にとても厳しい番頭さん。堅物で通っているけど実は近所の菓子屋の二階に上等の着物を隠し置いていて、おしゃれななりをして芸者幇間をあげて派手な遊びをしている。
こんなところを旦那やお得意様に見られるわけにはいかないと用心深い番頭だが、酒を飲んでついつい気が大きくなり向島で鬼ごっこをしていると、旦那にばったり。

談幸師匠は要所要所でほっと笑わせるのがとてもうまくて、自然と噺の中に入り込ませてしまう。
そしてもうとにかく旦那がいい。ユーモアがあって正直で懐が大きくて。
最前列だったので泣いたら恥ずかしいと思って泣かないように泣かないように頑張っていたんだけど、人に厳しすぎる番頭を諌めながらも、こんなに成長してくれて…と手放しでほめるところに、じーん…ときて涙がぽろり。

それでも全然大仰じゃなくてお涙頂戴じゃなくてあっさり軽くてそこがもうほんとにたまらない。
談幸師匠、好きだー。(←どんどんはまる)