りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

のんき夜行第17夜

3/17(水)、カフェアリエで行われた「のんき夜行第17夜」に行ってきた。
カフェアリエは大久保にこんなオサレなお店があったとはと驚くようなおしゃれカフェ。有名な建築家が建てたアトリエということで、おしゃれというだけじゃなくムードのある素敵なお店。
主催者さまのtwitterで予約で満席とは知っていたけれど、行ってみると普段の落語会では見かけないようなおしゃれな人たちで店内はいっぱいになっていてびっくり。
最前列が空いてますと言われ、嬉しいような困ったような気持ちで座ろうとすると、ブログで知り合って金曜日に一緒に落語に行きましょうと約束をしていた方と思われる女性を発見。
「もしや…?」と話しかけるとどんぴしゃり。こんな偶然があるなんて。うれしい。

・小痴楽&鯉八フリートーク
・鯉八「暴れ牛奇譚」
・小痴楽「磯の鮑」
〜仲入〜
・鯉八「藪の中」
・小痴楽「風呂敷」

小痴楽さん&鯉八さんフリートーク
やはりお二人も今日の客層が読めなかったらしく、いったいどういう人たちが来ているのかをさぐるためのトークコーナー。
「落語は初めてという人?」「このお店の常連さん?」「僕たちを初めて見る人?」と質問するのだけれど、しーん…。
むむむー。ほんとになんだろうこの雰囲気。
渋谷らくごから来た人たちなんだろうか。

お客さんが大勢だととたんに「攻め」に入る鯉八さん。「僕のいいところを3つ言ってください」と素敵女子を指名。ひぇー。
この流れはまたあれですか「おれほめ」ですか。やっぱりそうですか。と思っていると、指名された彼女が「おれほめはこの間見ました」と。
それを受けて小痴楽さんが「じゃ続けてはいやだよね」。
いやあのね、「おれほめ」が嫌ってわけじゃないんだけどね。でもなんかね。違う攻め方も見たいんだよね。

鯉八さん「暴れ牛奇譚」
長めのトークコーナーが終わって鯉八さん一席目。
前世を占うというサイトで自分の前世を調べたら「足利尊氏」だった、と。そんなに有名でもないけどみんな知ってるという加減がちょうどいい。この人は幕府を作ったんですよ、幕府ですよ。わかりますか幕府を作るっていうのがどれほどのことか。僕にはわかりません。だって作ったことないですから。たいていの人は作ったことないんです。それぐらいすごいんです。 そんなまくらから「暴れ牛奇譚」。

始まり方といいキャラクターといいストーリーといい、他の噺家さんには絶対に真似のできない世界。
私が初めて見てハートを射抜かれたのも「暴れ牛奇譚」だった。
この日のお客さんは鯉八さんの新作を期待してきた人が多かったのか、すごい集中力で聞き入って、どっかんどっかんうけていた。

小痴楽さん「磯の鮑」
前座に入った時に漢字が書けなくて「家」っていう字も書けなかったという小痴楽さん。
ともだちが心配して漢字ドリルを買ってくれて、毎日仕事から帰るとコツコツドリルをやって必死に覚えたらしい。
歌丸師匠のお付きで一緒に旅をしたときに、歌丸師匠が喫煙室を指して「あそこに行ってどんなだったか教えて」とタバコを吸うきっかけを与えてくれたり、覚えたての漢字を駆使してお礼の手紙を送ったら、赤ペンで添削して返してきたというのがおかしい。
家族の話や師匠にスナックに連れて行ってもらったまくらは鉄板なのかな。何度聞いても楽しい。
そんなまくらから「磯の鮑」。これほんとに小痴楽さんに合ってるなぁ。与太郎が目を血走らせて吉原に向かう姿が目に浮かんできて大笑い。楽しい。

鯉八さん「藪の中」
会話ではなく、それぞれの心理描写だけですれ違う人たちの思惑のずれを描いているのが凄い。
カラっとダークな旦那がすごくリアルで、ひでぇ!と思いながらも笑ってしまう。
この日のお客さんにはぴったりはまってる感じ。ほんとに落語ってその場にいるお客さんと一緒に作っていくものなんだなぁ。面白い。

小痴楽さん「風呂敷」
小痴楽さんのやるおかみさんってドスがきいてるけどなんだかとても色っぽい。
この日のお客さんは古典より新作の方がハマるみたいでちょっとやりづらそうだったけど、助けを求めに来たおかみさんと知ったかぶりの兄ぃの会話、いつまでも続けていてほしいくらい楽しかった。