りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小満ん正蔵二人会

3/8(日)、横浜にぎわい座で行われた「小満ん正蔵二人会」に行ってきた。

・まめ平「犬の目」
正蔵雛鍔
・小満ん「城木屋」
〜仲入〜
正蔵「一文笛」
・小満ん「明烏

正蔵師匠「雛鍔
自分は男だけどそれでもお雛様は楽しみだった。
ひな人形やぼんぼりに火が灯るのもきれいでうきうきしたし、母親がちらし寿司やハマグリのお吸い物を用意してくれて、家族で食べるのも嬉しかった。
それなのに母親が雛人形をすぐにしまってしまう。「なんで?」と聞いたら「雛人形をしまうのが遅れると、娘が嫁に行くのが遅くなると言われている」と。
たしかに急いでしまった甲斐があって嫁には行きましたけど、まさか行った先から帰ってくるとは思わなかった。お雛様もそこまでは面倒を見きれなかったんでしょう。
「姉が」とか「おふくろが」といえば誰の頭にもあの顔が浮かんでくる。それをちゃんとわかっていて、でも嫌らしくなく使うところが絶妙。

そんなまくらから「雛鍔」。客席にお子さんが来ていることに気づいてこの噺にしたのだろう。 途中で「あ、はっつぁんじゃなくてくまさんだった」。ミスをこうやって笑いに変えるのがうまいな。

小満ん師匠「城木屋」
大好きだった「小満ん在庫棚卸し」の会が終わってしまって小満ん不足〜。なので、出囃子が聞こえてきたときはじーん…。
昔は三題噺っていうのが寄席でずいぶんと流行った。その中にはいまだに残っている「芝浜」なんていうのもあるけど、大抵の噺はやり捨てでその場限り。「城木屋」も三題噺だけど今ではあまりやり手がいない。なぜなら面白くないから。その面白くないのをやります。

末廣亭で一度聞いたことがある「城木屋」。たしかにあの時は噺について行けなかったところもあったんだけど、二回目だとなるほどなるほどとわかって楽しい。
煮ても焼いて食えないような番頭だけど、小満ん師匠がやるとユーモラスにも感じられる。
大岡越前守に詰問されてものらりくらりとダジャレで返す番頭がおかしくて楽しい。
って実際にこんな男がいたら迷惑以外のなにものでもないけど。

正蔵師匠「一文笛」
今も年末になるとテレビでよく警察24時というのをやっているけど、自分もこぶ平時代にスリの神様といわれる男にインタビューしたことがある。
やってきたのは普通の品のいいおじいさん。でもいざ「仕事」の話になると、急に眼光が鋭くなって、やっぱり只者じゃないなと感じた。
彼曰く、最近は本物のスリが少なくなった。本物のスリは財布をすって現金だけ抜き取り財布は戻した。もっと上になると、すった相手のなりを見ていくらぐらいあれば足りるか即時に判断しその分の現金は残して財布を戻した。もっと上級になると領収書を入れておいた。
そんなまくらから「一文笛」。
初めて聴く噺。これがすごくよかった。
お金がなくて笛が買えずにいた子どもにすった笛をやって、いいことをしてやったといい気になっているスリが兄貴分からそのあとの顛末を聞いて愕然とするところ、指をおとして許しを請うところ、そしてサゲまで、すごく面白くて噺に聞き入ってしまった。
正蔵師匠を見直したよ!

小満ん師匠「明烏
小満ん師匠らしく洒脱な「明烏」で、ああ、この噺はこういうふうに楽しむのか、とようやくわかった気が。
今までなんとなく笑うけど、正直これがそんなに面白い?と思っていたのだ。
子どもがいたって気にせずに烏カーで夜が明ける前の様子もじっくり語ってしまうところが、小満ん師匠らしくて素敵だ。
子どもは退屈したかもしれないけど、なんとなくよくわからない大人の世界をぼんやりと覚えているかもしれない。それもいいよね。