りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

すがも巣ごもり寄席

2/11(火)、巣鴨スタジオフォーで行われた「すがも巣ごもり寄席」に行ってきた。
主催者さまのブログやチラシは見ていて、始まったことは知っていていたものの平日昼間の会なので行けずにいたこの会。
祝日&この顔付け!ということでうはうはと参加。
これは混むかもしれないぞと早めに行った上に時間を間違えて一番乗り。
最前列のど真ん中でわーいと喜んでいたら後から後からお客さんが入ってお膝送りでどんどん高座近くへ移動。
こ、こんな近くで見ていいの?というぐらい高座の近くで笑ってしまう。

・神田真紅「里見八犬伝 犬塚信乃の生い立ち」
柳亭小痴楽「磯の鮑」
〜仲入り〜
・瀧川鯉八「俺ほめ」
・三笑亭夢吉「竹の水仙

真紅さん「里見八犬伝 犬塚信乃の生い立ち」
この人数、この熱気、そしてこの近さ。
緊張が伝わって来るようでこちらもドキドキ…。
初めて聴くはなしで思わず身を乗り出し表情が険しくなってしまう(主人公がひどい目にあわされるので)。
これからきっと今まで受けたひどい仕打ちをやり返すのだろうというところで終わり。ええええ?そんなぁ…。
続きが聴きたい〜!

小痴楽さん「磯の鮑」
「僕人見知りなんでこんなに大勢いると緊張します」と小痴楽さん。
「それに今月仕事がなくて久しぶりなのでなんか口がまわってなくて、今なにを喋ろうかって考えてるんですけど、頭の中真っ白です」「でも大丈夫です。ぼく、前座時代もよく頭真っ白になって絶句しちゃうことあったんですけど、そういう時はだまってお客さんの方を見てればいいってわかってるんで」。

きっと緊張はしてたんだろうけど、そう言ってもなんかこう余裕があるっていうか魅力があって、客席がぎゅうっと小痴楽さんに引き寄せられていくのがわかる。
どっかんどっかんとうけるので、どんどん調子が出てきて、話していて楽しそうだし、聞いていても楽しい。

おとうさんがとても短気で近所に暴走族が来たりすると、着物に着替えて前をはだけさせて金属バットを手に暴走族を怒鳴りつけ、おとうさんの姿を見た暴走族が「うわ、本物が出た!」って逃げ出したというのがおかしい。
おかあさんも同じように気が短くて夫婦喧嘩の様子を落語っぽくやってみると、「おい、お前、なんて言った?」「なんだと、それはこっちのセリフじゃ!」って、かみしもふっても「あれ?女いた?」っていうのがまたおかしい。

25歳の誕生日に今の師匠にスナックに連れて行ってもらって、そこでの暗黙のルールを学んだ、というまくらから「磯の鮑」。
これが小痴楽さんのニンに合っていてめちゃくちゃ面白い。
なんでも間に受ける与太郎、それをからかってやろうというわかい衆、「吉原の師匠」と呼ばれた先生。
会話のずれも楽しいし、吉原に行ってからのドタバタも楽しくて大笑い。
いいなぁ、小痴楽さん。めちゃくちゃ面白かった。

鯉八さん「俺ほめ」
この人数にこの雰囲気だとこれは多分「俺ほめ」でくるのでは…と思っていたら、やはり「俺ほめ」だった。
「俺ほめ」は攻める鯉八さんの勝負噺なのだなぁ。
お客さんの反応を見ながらテンポや間を微妙に変えてまさに自由自在。安心して見ていられる。
でも直球勝負だけじゃなくカーブも見たい。違う攻め方をする鯉八さんも見てみたい…と思ってしまう。ファンとは勝手なものなのだ。

夢吉さん「竹の水仙
鯉八さんの「俺ほめ」を「なんですかあのふき出す自我のマグマ、みたいな噺は!」。
さすが夢吉さんは言葉のセンスがたまらない。
夢吉さんらしい明るく笑いどころ満載の「竹の水仙」。
すっごく面白い二つ目さんだった夢吉さんが、真打っぽくなってきてるのが、嬉しくもあり寂しくもあり…。
はん治師匠が、二つ目から真打に上がる時にものすごく変わるんですよって言ってたなぁ…。
それを見届けたいなぁ、と思ったのだった。