りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治 一門会 練馬文化センター大ホール

11/4(火)、練馬文化センター大ホールで行われた柳家小三治 一門会に行ってきた。

・小はぜ「たらちね」
・福治「お見立て」
〜仲入〜
・世津子・ケイコ・ミコ 奇術
小三治禁酒番屋

小はぜさん「たらちね」
大好きな前座さん。いいよねぇ、小はぜさん。佇まいがとてもいいし、落語も素直でちゃんとしていて面白みもあってすごくいい。小はぜさんを見ると、はん治さん、やるなぁ!って思う。将来が楽しみ。

世津子・ケイコ・ミコ 奇術
これが驚いた。
今まで寄席で何回か見たことがあったけど、あんまりぱっとしないなぁという印象だった。(すみません…)
でもこの日お客さんを客席にあげてやったマジックには驚いた。えええ?いったいどうやってるのー?すごーーい!って。
寄席で見たときは紐のマジックだったけど、この方はそういうものよりわりと大きなマジックを得意としているのかもしれない。

小三治師匠「禁酒番屋
前に出た世津子さんのマジックを「あれ、今日初めて見たんですけど、びっくりしましたね」と小三治師匠。
「あれは大魔術なのか?」と聞いたら「いえ…大というほどでは。中魔術です」。
「あれはうちの一門なんです。とはいっても私がマジックを教えたわけじゃないんですが。でも一門だからといって”あれどうやってるの?”なんて聞いたりはしません。私にもプライドがある。」と言ってにやり。

それからお酒のまくらを振り出したので「お、禁酒番屋?」と思っていると、まくらの途中で、「そういえばノンアルコールっていうのが最近ずいぶん出てきましたね」と。
ノンアルコールビールっていうのはこういっちゃなんですけどうまくもなんともありませんよ。確かに飲めない人がお付き合いで口をつけて飲んでる雰囲気を楽しむという需要はあるんでしょうけど。最近はビールだけじゃなく日本酒や梅酒なんていうのもありますね。わたし、梅酒は好きなんですよ。子供の頃から。それでノンアルコール梅酒ではチョー〇とサン〇リーから出てますけどね。このサン〇リーの梅酒はね、ほんとにうまい。わからないです、アルコールが入ってるかどうかなんて。サン〇リーが出してる飲み物の中で一番うまいです」
…言いたい放題に客席が大爆笑すると「え?なんかわたしいけないことを言いました?」

実は今日は私は体調が良くないんです。というのは、新宿区からお知らせが来たので今日はインフルエンザの予防注射を打ってきたんですけど。
問診票っていうんですか。服用している薬はあるかとかアレルギーはあるかとか。ほとんど見もしねぇで全部「ない」「ない」に丸をして、最後に説明をちゃんと読んだかってあるのを読んでもいねぇけど「はい」に丸して、注射してもらった。
そうしたら最近はそういうことになってるのか新宿区が特別そうなのか、打ったあとはすぐに出て行かないで15分ほどぼーっとしてろって言う。仕方ないから15分ぼーっとしていると医者に呼ばれて「大丈夫ですか」と顔を覗き込む。
そんなに危ねぇものなのかこの予防注射はって思ってちょっと嫌な気持ちになって会計に行くとそこで「会計はありませんからお帰りください」っていう。
いやそんなはずはない。毎回区から補助は出てるけどそれでも三千円とか五千円とか払ってたぞ!と言うと、係の人も困って説明書をあっちこっちひっくり返して見てたけど、そのうち「ああ。これです」というのが、75歳以上は無料と書いてあった。
おかしいじゃねぇか。俺は来月ばになれば75歳になるけど今はまだ74歳だぞ。予言(?)で無料になるなんて聞いてことがない。無料なんてなんか気分が良くない。なんかもうあなたは終わりですよって言われてみるみたいで。俺は金を払いたいんだ!
だから今日は機嫌が悪いんです。

体調が悪い、機嫌が悪いっていうけど、体調も機嫌もよさそうな小三治師匠。
それからいつもの酒飲みのまくらから「禁酒番屋」へ。
小三治師匠の「禁酒番屋」は何回も見ているけど、この日の「禁酒番屋」はものすごくよかった。面白かった。
禁酒番屋が出来るに至った酒乱の侍の顛末が落語というよりはひとつの物語として語られてその光景が浮かんでくるよう。
そして酒屋に立ち寄った近藤が酒を二升飲んで「屋敷に酒をもってこい」と命令して飛び出していく様子を、酒屋の主人が「入ってきた時と出て行く時で目つきがちがってた」といったことで、最初に振った酒乱のまくらが効いて、酒乱の目つきが変わる姿を思い出させる。
また、番屋の役人が徐々に酔っ払っていって「控えておれぇ」というのはいつものとおりだけど、「伸び上がるでない」と言ったのは初めてだったんじゃないかな。しょんべんを飲むところをこの目で見たいと酒屋がわくわくと伸び上がる様子が目に浮かんで大笑い。

何度も見た同じ噺でもそのときどきで印象が全然ちがうから、ついつい全部見に行きたくなっちゃうんだなー。