りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

西新宿ぶら〜り寄席 瀧川鯉昇独演会

9/1(月)、ミュージックテイトで行われた「西新宿ぶら〜り寄席 瀧川鯉昇独演会」に行ってきた。 狭いレコード屋さんの店内で鯉昇師匠を見られる幸せ。

・鯉昇「ちりとてちん
〜仲入〜
・鯉昇「明烏

この夏倒れて救急車で運ばれた鯉昇師匠。
今までも何回か救急車に乗ったことはあったけどいつも日帰り。お泊りは今回が初めてだったという。
呼吸困難に陥り本当に辛かったそうなのだが、退院したあとも体力が落ちて寄席の高座まで歩いていくのも一苦労。
なんてことを言うと、普段から体力がないということを言っているから、「だったら今まではなんだったんだ」と責められる、と。

前座の頃、寄席のお給金が二日分まとめて支払われるので、それにあわせて食事も2日に一度しかとれなかった。
お給金が出た日に「久しぶりに栄養をつけなきゃ」と蕎麦屋で天ぷらそばを食べたら、何年前の油を使っていたんでしょう、帰りの地下鉄で脂汗がふきだしてきて立っていることもできない。
霞ヶ関で降りて交番で救急車を呼んでもらって救急病院へ。
点滴を打ってもらいしばらくしたら帰された。
その1週間後、性懲りもなく同じ蕎麦屋で天ぷらそばを食べてたら、また同じように具合が悪くなり、霞ヶ関で降りて救急車で病院へ。
同じ看護婦さんがいて「あらまた来たの?また天ぷらそば?あなたも懲りないわねぇ」。

そのとき病院で言われたのは、「なってからでは遅い」。
栄養が足りてない状態で栄養をつけようと天ぷらなんか食べてももう遅い。体が油を吸収できない。
夏バテになってから鰻を食べても具合が悪くなるだけ。
同じように、欝になってから落語を聞きに来ても遅い。余計に落ち込んじゃう。
元気なうちに落語に来てください、と。

そんなまくらから「ちりとてちん」。
なんにでも逆らう男のひねくれ具合。
何を食べても「たいしてうまくないなぁ」「あーこの鰻は養殖だろう?」と文句ばかり。
それが腐った豆腐を出されて「これは高級品だ」「懐かしい」と言って、おえっぷとなりながら食べる姿のおかしさ。
たわいもないけど楽しい。

仲入り後は「明烏」。
熱演はしない、お客さんに乗せられてもたっぷりはやらないと言いながら、着物の合わせについての豆知識を丁寧に説明する鯉昇師匠。
「学校では決して教えてくれないけど有益な情報」とのこと。わははは。
明烏」はあまり好きな噺じゃないんだけど、鯉昇師匠の「明烏」を見ていると、奥手な若旦那が初体験をしてうれしはずかし、というのがなんとなく微笑ましく感じられる。
鯉昇師匠のゆったりした世界が心地よかった。