りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭6月下席 夜の部

6/27(金)、末廣亭6月下席 夜の部に行ってきた。お目当てはもちろん小三治師匠。

・左龍「お菊の皿
・小菊
・琴調「鋳掛松」
・はん治「背なで老いてる唐獅子牡丹」
・美智美都
・歌之介「勘定板」
・圓丈「シンデレラ伝説」
〜仲入り〜
・燕路「夏泥」
笑組
・小里ん「二階ぞめき」
・小袁治「胸肋鼠」
・仙三郎社中
小三治粗忽長屋

はん治師匠「背中で老いてる唐獅子牡丹」
いいなぁ、好きだなぁ、はん治師匠。
高齢化が進んだ任侠の世界がたまらなくおかしい。あのゆったりしたテンポとイントネーションがクセになる。

歌之介師匠「勘定板」
昭和…。

燕路師匠「夏泥」
お得意のフレーズ「信者の皆さんこんばんは」。ちっ。
声が小さすぎなのと暗すぎるから面白さが半減だなぁ、もっと楽しくやってほしい、と信者は思ったあるよ。

小里ん師匠「二階ぞめき」
大好きな小里ん師匠。いやぁいい。なんか粋だよなぁ、若旦那。でもこれみよがしに粋すぎないところがいいなぁ。
一人で喧嘩をやって「一人でやるから忙しいね」っていう、ゆったりした口調がなんともいえず好き。

小袁治師匠「胸肋鼠」
大好きな小袁治師匠。私の中ではマックくん。
初めて聴いた噺だったけど、ダメダメな若旦那が楽しい。

小三治師匠「粗忽長屋
まくらでは人形町末廣亭の話。マイクなしで客席の隅々まで声が聞こえる造り。何回か聞いていていつもピンときてなかったんだけど、前に赤坂でマイクトラブルがあって師匠の声が後ろの方に全然聞こえなくて、空調を切った時にそれまでと響きががらっと変わって、鳥肌がぞわ〜とたったことを思い出す。確かに本当は落語ってそうやって聞くものなんだなぁ…。
ヒソヒソ声をやる時にはっていう話が面白かった。
最初に聞こえないぐらい小さい声でやって、その後徐々に大きくしていくと、お客さんには「ヒソヒソ声」っていうイメージをもってもらえる、って。なるほど。
「そういう悪知恵だけはたくさん持ってるんです」に笑う。

自分は子供の頃、お茶をこぼしたりするたびに母親に「お前はおっちょこちょい」と言われたと。
そんな母親も一番下の妹を呼ぶのに上から順番に呼んでいかないと名前が出てこなくてそういうときに自分のことを「おっちょこちょい」と呼んでいた、と。
お茶をこぼすのと名前が出てこないのはまるで違うのにおっちょこちょい…。どういうことなんでしょう。
なんかそういう言葉へのこだわりが面白い。

小三治師匠の「粗忽長屋」、初めて見られた。
まめな粗忽者が行き倒れに出くわしてまたぐらをくぐって前に躍り出て、行き倒れを見て「よっぽど面目ねぇんだろう」と言うと、世話をしていたおじさんが「そういうことがわかりますか」と感心したように言うのがおかしい。
「いやあっち向いてるから」に大笑い。
当人を呼んできますと帰って空家をガンガン叩いて「熊ー熊ー」。
その様子をのんびりタバコを吸いながら見ている熊が「あいつもいい加減覚えればいいじゃないか、あそこは空家だってことを。」と言いながら「あ、熊はおれだ」とぼんやり気づくのがおかしい。
ことさら対比させているわけじゃないのに一瞬にして人が切り替わると空気ががらっと変わる。
二人で行き倒れの現場に戻ってくると「あ、また来た」とおじさんがちょっと嫌な顔をするだけでおかしい。

もうとにかくすみずみまでおかしくてじんわりあたたかくてほんとにいいものを見た!という気持ちでいっぱい。
幸せなひとときだった。
会長を退いてほっとされたのかなぁ。すっきりした表情の小三治師匠がうれしかった。