地下室の手記
- 作者: ドストエフスキー,安岡治子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/05/10
- メディア: 文庫
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世間から軽蔑され虫けらのように扱われた男は、自分を笑った世界を笑い返すため、自意識という「地下室」に潜る。世の中を怒り、憎み、攻撃し、そして後悔の念からもがき苦しむ、中年の元小官吏のモノローグ。終わりのない絶望と戦う人間の姿が、ここにある。
前半はあまりにも内省的で読んでいて辛くなってきて挫折しそうに…。そういえば中学生の時に「カラマーゾフの兄弟」を読んで「なんかよくはわからないけど面白い!」と思い、続けてこれを読んでまんまと挫折したんだった。
思考がマイナスの方に行きがちな時にこれを読むのはしんどいわ。読んでいるとどんどん憂鬱になってきて、うあああーーーー!!と叫びながら外へ飛び出したくなる。
後半は読んでいてあれ?なにこの感じ?なんかよく知ってるよ、この感じ?
心の中で正直になろうとしたり虚勢を張ろうとしたり葛藤して、しかし実際はひどい言葉を投げつけたり卑屈な態度をとったりそれを後悔したり得意になったり…。
あーわかった!賢太だ、西村賢太。驚くほど西村賢太の小説の独白と似ている。恐るべし。
解説を読むと物語の根底には神の存在と人間の個性の矛盾が根底にはあるとのことで、宗教的な素養がないとやはりちゃんと理解することは難しいのだろうな…。
あくまでも私は一つの小説としてしか読めなかったのだが、それでもそれなりに楽しめた。