りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

猫のよびごえ

猫のよびごえ

猫のよびごえ

★★★★

自分の都合で、癒される、とか言って生き物を飼い、簡単にこれを捨てるのは罪深いことだ。かつてなく人懐こい猫がやってきた。大人気エッセイ、待望の新刊!

ここ1,2年で猫好きになってきた。
昔は猫になどまるで興味がなかったのだが、我が家でうさぎを飼うようになってから生き物の可愛さに目覚め、さらに角田光代さんのブログを読むようになってからトトさんがかわいくてたまらなくなり、最近では読んでるブログのほとんどが猫ブログというはまりよう。
猫のエッセイなんて読んで何が楽しいの?と思っていたのだけれど、これが面白い面白い。ほんとに何事も決めつけちゃいけない。そもそも自分がどう変化していくのかわからないのだから。

捨てられた猫たちを見かけると助けずには居られない町田さん。
特に何年か飼い猫でいて捨てられた猫は人間への警戒心が薄いので、いつ酷い目に合わされるかわからないと思って、放っておくことができない。
その結果、町田さんの家は完全に猫屋敷と化している。さらにこのエッセイにはあまり出てきていないが犬もいるようで、さらに町田さん以上に奥様が動物との距離が近く、夫婦で保護活動を行っているため、結果生活は猫にまみれるということになるようだ。

猫たちはそれぞれに性格も違うし警戒心も強いしデリケートだしマーキングはするし、本当に大変。
特に新しくやってきた猫二匹が人懐っこく、そのかわりに猫ルールを守らないため、先住猫たちのストレスは大きい。多頭飼いの難しさをこのエッセイを読んで痛感した。
先住猫のストレスを気にかけてマーキングされたところを雑巾で拭いてその雑巾を洗濯して。どんなにか大変だろうと思うのだが、町田さんの文章はどこまでもハイテンションでぶっ飛んでて楽しそうだ。

猫たちとの生活は決して甘い生活ではないけれど、嬉々として僕となり警戒されないようにアホなことで頭をいっぱいにし、歌ったり踊ったりしている町田さん。町田さんに拾われた猫は幸せだ。写真で見ると眼光の鋭い猫が多いけれど、表情はとても穏やかだ。
文章のリズムに乗せられ、何度も吹き出しながら楽しく読んだが、動物を飼うには覚悟が必要とつくづく思った。