りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治独演会 THEATRE 1010

2/11(火)、北千住THEATRE 1010で行われた柳家小三治独演会に行ってきた。

・ろべえ「近日息子」
小三治「一眼国」
〜お仲入り〜
小三治「あくび指南」

ろべえさん「近日息子」
ちょっともたもたしているっていうかすっきりしてないなぁという印象。
ろべえさんはいい時と悪い時がはっきりしてる。

小三治師匠「一眼国」
大雪でみなさん大変でしたね、という話から、小三治師匠はあの雪の日三鷹に行っていて帰りはタクシーを呼んだのだけれど、待てど暮らせどやってこない。こうなると「何がなんでも来るまで待ってやろう。勝負だ。」と意地になったのだが、結論から言いますと来ませんでした。もうどうにも身動きがとれなくなって仕方なく知り合いの家に電話をしてその晩は泊めてもらいました。
そして終わったばかりの都知事選の話。選挙前だと、どの人がいいとか悪いとか言ったらいけないけど終わったからいいですね、と言って政治についての話。
なんでもパーパー日記に書いている私でも政治の話はしちゃいけないという抑制がきいて書かないようにしているんだけど、小三治師匠は驚く程はっきり明確におっしゃる。それがいちいち「ああ、わかる…」で、自分が尊敬する好きな人が自分が良しとしている考え方を持っていることにとてもほっとする。

仕事柄、応援を頼まれたり政党の主催する会に呼ばれることもあるけれど、自分はどこの政党も支持していないし入るつもりもない。なぜならいいと思って支持して政党に入ってしまうと、その後その政党が違ったことを言い出して「なんだ、気に入らねぇな」ってなった時に、文句を言えなくなっちゃう。
自分は思っていることを好きなように言いたくて噺家になったのだから、そういうことで縛られるのは嫌。
だから自分は右でも左でもない。
そんな話をしながら自分が腕組みをしていることに気がついて「こんなポーズをとってたら談志になっちゃう」とあわてて直すのがおかしい。
談志は自分よりずいぶん上の兄弟子だけどあの人は凄かった、前座の時から才能が際立っていた。だからなんで政治家なんかになっちゃったんだろう、と自分は思う。もったいない、と。 だけどあの人は昔から金と権力が好きだった。そういう人は政治家になりたいと思うんでしょうか。自分にはその気持ちがわからない。

高校時代に落語研究会ができて「ぜひ入部して欲しい」と勧誘が来たという話やラジオで素人落語家として活躍をしていた話なんかをつらつらとしながら、「そうだ。この話をさっきからしようかどうしようか悩んでいたんだ。でもどうしようかな。長いんですよ」と言うと、会場から拍手!もちろん私も。
それが小三治師匠が前座だった頃に細川さんの応援を頼まれて熊本に行った時の話。これが面白かった…。

あの人は殿様だから地元では本当にすごい人気で、団地に行けば全部の窓から奥さんたちが手を振っている。それに対していかにも殿らしく鷹揚に手を振り返す細川さん。
田んぼでお百姓さんに声をかけて握手をしたらその人はありがたがって膝まづいた。
すごい人気だなぁ…。だったら何も自分が呼ばれることもなかったじゃないか、そう思って帰ってきた。
しかし結果をみたら細川さんは惨敗。地元の保守勢力が圧倒的多数で当選していた。
それを見て、ああ…選挙ってこういうものなんだな…と体感した、と。

長いまくらだったので落語はしないのかなと思っていたら「一眼国」へ。
私はとにかく小三治師匠という人が大好きなので、まくらは長いほどうれしいんだけど、落語に入ったらまた空気ががらっと変わってぞくぞくする。
そんなに大げさにやっているわけじゃないのに、広い野原が目の前に広がって一つ目の女の子が足元にいる気配を感じる。凄い。

小三治師匠「あくび指南」
仲入り後はまくらなしで「あくび指南」。小三治師匠の「あくび指南」は初めてでうれしい。 小三治師匠がやるとあくびの師匠が確かにとても風流に見えてくるからおかしい。
そして教わる熊さんがタバコに感心して「うまいタバコだねぇ」と吸い込んだり、吉原へあがるとなじみの女に声をかけられて…と鼻の下を伸ばしたりと、その繰り返しがたまらなくおかしい。
ことさらおかしくやらないのにおかしい。うーーん…たまらん。