りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さよならまでの読書会: 本を愛した母が遺した「最後の言葉」

さよならまでの読書会: 本を愛した母が遺した「最後の言葉」

さよならまでの読書会: 本を愛した母が遺した「最後の言葉」

★★★★★

母が末期の膵臓癌を宣告されたのをきっかけに、母とわたしが始めた読書会は、わたしたちの人生そのものになった。『最後の授業』『モリー先生の火曜日』に感動したかたに、そしてすべての読書好きに薦めたい、聖典からミステリまで、本を読むことで通じあう心の交流を描いた出色のエッセイ。

とても良かった。
お母さんがあまりにも立派なのと圧倒的な信仰心を持っていることに、自分はとてもじゃないがこんな風にはなれないぜ、とひがみたくもなるのだが、それでも同じ本好きとして共感できるところがたくさんあった。
自分の親が癌を宣告されて刻々と別れが近づいている時に、お互いに伝えておきたいこと、聞いておきたいことがあったとしても、核心に触れるのが怖くてなかなか話すことはできないと思う。
しかし一冊の本を一緒に読みそれについて語りあうことはできる。その中で自分が絶対に守りたいもの、大事に思っているもの、そして言葉にして伝えたい想いを語ることはできるような気がする。

読んだことのある本が次々出てくるのも嬉しかったのだが、私があくまでもフィクションとして楽しんだ作品を別の観点から読みといていることに驚きもした。

本は人生でなすべきことを知るためのよすがである、という言葉には半分賛成半分反対、かな。
それほどのものじゃないよという気持ちもあるのだが、しかし本をたんなる娯楽、現実逃避の手段と言い切ることにも抵抗がある。
自分にとって本を読むことはどういうことかというのを語ることは、もしかすると自分がどんな人間であるかということを語ることになるのかもしれない。