りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

J亭落語会 花鳥風月「風」シリーズ 春風亭一之輔独演会

12/20(金)、虎ノ門JTアートホールで行われたJ亭落語会 花鳥風月「風」シリーズ 春風亭一之輔独演会に行ってきた。
このシリーズはこれで二回目。縦長のホールで後ろの方の席でちょっとさみしー。そのわりに前の方に空席があってちょっと納得いかねー。

柳家さん坊「金明竹
・春風亭一之輔「代脈」
・古今亭志ん八「ニコチン〜魚男」
・春風亭一之輔「茶の湯
〜仲入り〜
・春風亭一之輔「ねずみ穴」

さん坊さん「金明竹
さん坊さんはこの間白酒師匠の会で前座で出てきて掟破りの(?)まくらをやっていたが、今回もカレーライスのまくら。面白かったけど、やはり噺に入るのが不自然なんだなー。そこで一番笑いが起きていて、本人は少しポカン。
まくらやるより「金明竹」をはしょらずにやってほしかったような。

一之輔師匠「代脈」
一朝師匠のところにまた新しく弟子が入ってきたという話から。「朝太郎」と名前をつけられたのだが、「朝太郎」というのは一朝師匠が以前つけていた名前。師匠がつけていた名前というのはみんなの憧れでみんな名前をつけてもらう時に「朝太郎は…?」と聞くのだが、師匠が「いやだ。朝太郎ってつけて怒られてるのを見ると自分が怒られているみたいで嫌な気持ちになる」と誰もが断れた。自分もそうだったのに、弟子が増えてくると師匠もめんどくさくなるみたい。あんなやつが朝太郎を名乗るのかと思うと悔しい。
あんなやつってどんなやつかというと、メガネがなぜか斜めになってる。注意すると今度は逆向きに斜めになる。履歴書をみたら趣味の欄に「ガンダム」って書いている。「ガンダムが趣味?」って聞くと「ええ、好きなんです」。「いやそれはわかるけど、何も履歴書に書くことはないんじゃない?」と言うと「書いておけばいつかガンダム関係の仕事が来るかもしれないと思って」って…馬鹿なんだか計算高いんだかわからない。

最近、白酒、兼好、百栄師匠らが弟子をとった。百栄師匠に弟子入りしてどうしようっていうのか。もしかすると弟子と見せかけた潜入捜査なのか。
弟子は取らないのかと聞かれることがあるけれど絶対とらない。今とったらどんだけ天狗になってるかと言われるに決まってる。

というような話から「代脈」。
初めて聞いた噺。お腹を触るときにおバカスケベ男子の顔が見えるのが一之輔師匠らしくて面白い。

志ん八さん「ニコチン〜魚男」
初めて見たけど好きなタイプの噺家さん。押しが強い噺家さんより、こういうちょっと引いた語りの噺家さんの方が好き。
JTホールにぴったりの噺をということで「ニコチン」。お酒を飲むとタバコを吸いたくなる、というのを上手にあらわしている。
趣味の釣りで仲良くなったアサダ二世先生の話もおかしかった(モノマネがそっくり!)。

一之輔師匠「茶の湯
一之輔師匠の「茶の湯」は何回か見ているけどパワーアップしていた。
パワーアップと同時に原型をとどめていないところがいいような悪いような。良くも悪くもパワー落語なのだな、一之輔師匠のは。

一之輔師匠「ねずみ穴」
おお。一之輔師匠が「ねずみ穴」!
龍玉師匠の「ねずみ穴」は最後まで見てもお兄さんが本当はいい人なのか悪い人なのかわからない。もしかすると本当に悪い人だったのかも…という余韻を残す。
一之輔師匠のは、起こされた弟に話をしてみろと言うお兄さんが自分の非道なセリフを聞いて「おいおい。ずいぶん酷い役回りだな」と言うことで、聞いている私たちは笑ってほっとする。ああ、お兄さんはそんなに酷い人じゃないんだな、と。
演者によって解釈が違うところが落語の面白さだなぁと思う。
とてもいい「ねずみ穴」だった。