りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

立川談志三回忌 特別公演 立川流 談志まつり“イリュージョン”編

11/23(土)、よみうりホールで行われた「立川談志三回忌 特別公演 立川流 談志まつり“イリュージョン”編 」に行ってきた。

立川談之助立川キウイ、泉水亭錦魚、立川平林、立川談吉 「オープニングトーク」
立川談笑金明竹
・立川雲水「日和違い」
・立川生志「反対俥」
〜仲入〜
立川談四楼岸柳島
・立川左談次「町内の若い衆」
立川志らく「親子酒」
・出演者全員「エンディングトーク」

談笑師匠「金明竹
実は苦手な噺家さん。ブラックで押しが強くて悪口が多いというイメージがあったんだけど、実際に見てみたらそんなこともなかった。(黒成分は抑えめにしていたのかもしれないが)
津軽弁での言い立てがなんともいえずおかしくて、笑いが止まらない。途中で北朝鮮が交じるのがまた面白い。
押しと引きのバランスが絶妙なのだ。 面白かった。

雲水師匠「日和違い」
前半はとても面白かったんだけど、後半のダジャレが長すぎてちょっとじれてしまった。自分でも「飽きてきたわ」と言っていたから、もう少し短くてもよいのでは。なんて余計なお世話か。

生志師匠「反対俥」
まくらでは、談志師匠と飛行機に乗ったときに、機内誌に師匠のインタビュー記事があったのだが、CAを呼んで「これ、おれ」と師匠が言うと「存じ上げております」とCAが答えたというエピソード。 かっこええ!と思ったので、それから自分もやるようにしている、と。

ANAでやったときは一人目のCAが「ええええ?」とものすごく驚いて見せた。
なんていいリアクションなんだ!と思ったのだが、ほかのCAにもやってみたら全員同じリアクション。さては研修してやがる? 別の飛行機会社ではどうだろうとJALに乗ったとき一番若いCAにやってみたら「あ」って低い声で言われた。限りなく「素」な反応。
その後チーフっぽいCAが自分で気がついたらしく、写真と師匠の顔を何度か見比べていたのだが、見られていることに気がつくとつつつつっとにじり寄ってきて「ご本人の方が素敵です」とささやいた、と。
これは研修じゃない。さすがチーフだ。やるなぁ、と思った、と。

「反対俥」はメリハリのきいた楽しい高座だった。

談四楼師匠「岸柳島
落語協会から談志師匠が出るきっかけを作ってしまったのが私です、とあの有名な真打昇進試験のエピソード。 自慢でも恨みでもない、淡々とした語り口がなんともいえずおかしい。
その時にやったのがこの噺で、自分にとっては思い出したくない出来事ばかりが蘇るのであれ以来ほとんどやってないんですけど、今日はせっかくの談志まつりなのでやりたいと思います、と。

いやぁ好きだわーー。
押しの強い落語より、こういう引いた落語が好き。そしてやっぱり私は若手よりいぶし銀に弱いらしい。わははは。

左談次師匠「町内の若い衆」
うーん。やっぱり素敵、左談次師匠。
軽妙で粋でちょっと毒もあって色気もあって。好きだ。

志らく師匠「親子酒」
抜群に面白かった。酔っ払ってから吐く毒や、脱線が最高におかしい。

志の輔師匠は高座とがってん以外ではいつも疲れているんだけど、せっかくがってんで健康法をいろいろ教えてもらっても、あのカップ焼きそばで体を悪くしてるんじゃないか。
だいたいあれは焼きそばじゃない。お湯でふやかしてるんだから。あれの何が寂しいって、だいたいあれを食べようと思うのは小腹が空いた午前2時ごろ。真っ暗な台所でお湯を捨てるんだけど、熱いお湯を捨てるとステンレスがばこっ!!と大きな音をたてる。あの瞬間がなんともいえずむなしい。

禁酒していた旦那が奥さんに1本だけと言っていたのに2本目の酒をせがむところ。
「あのね。1本でまだ気持ちよくなれてないの。もう一本も飲まないとこの1本目が無駄になっちゃうの。例えば壁を越えようとして助走をつけて走ったとしよう。あともう少し跳べるところだった。だけどここでやめちゃうと、この走ってきたこの間の距離もこ跳べそうだったことも無駄になっちゃうんだ。ここでもう一度やってこそ最初の走りも意味がある…それと同じで今飲むのをやめちゃうと…」

ものすごい屁理屈だけどなんかよくわかる。最高だ。
志らく師匠も少し苦手意識があったんだけど、やっぱり人気があるわけだ。面白いわ。

というわけであんまりふだん見ることのない立川流だったけれど、とても楽しい会だった。満足。