りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

白昼の闇

白昼の闇 (海外文学セレクション)

白昼の闇 (海外文学セレクション)

★★★★

ホラーにつきものの雷鳴も墓地も深い霧も登場しない。どこにでもありそうな風景、普通の人々。でもそれは本当に正常なのか? 都会の片隅で繰り広げられる10編を収録した、ブラックユーモアたっぷりの大人のホラー短編集。

都会を舞台にしたホラー。膝のあたりからじわじわくる怖さ。
出張中にニューヨークで一泊するはめに陥ったノリスというイギリス人が、ホテルを探しているうちにどんどん迷宮にはまりこんでいく物語と、それに重なるような物語が次々展開していく連作短編。

汚い町、いかがわしい店、無関心な人、盗もうとする人、閉塞感いっぱいの駐車場。
描かれる風景や事件は私たちが普段目にするものとあまり変わらないだけに、おぞましい結末には鳥肌がたつ。
後味は決してよくないが面白かった。他の作品も読んでみたい。