りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

日曜ランチ寄席・柳家小んぶ

10/27(日)、東明飯店で行われた「第十四回 日曜ランチ寄席 柳家小んぶ」に行ってきた。
池袋の中華料理屋さんの宴会場で中華弁当付きの落語会。
いやぁ落語ってほんとにいろんなところでやってるんですねぇ…。

柳家小んぶ「そば清」
〜仲入〜
柳家小んぶ「寝床」

会場に入ってみると、中華料理屋さんの宴会場に高座が作られていて、椅子が並べてある。お客さんの年齢層は高め。みなさんこのお店の常連さんなのかお互いに席をとりあっていらっしゃる。
こ、こういう雰囲気の落語会は初めてかも…。ちょっと面白い。
いったいどこから登場するのか?あそこの扉が開いて出てきたらすごい驚くね、なんて話していると、入口のドアから登場の小んぶさん。なんだ、普通だった。って当たり前か。

手作り感満載の階段をおそるおそる上がる小んぶさん。背が高くて天井に頭が付きそうだ。
座っておじぎをすると「フツウの人なら全然問題ないんですけど、私は大きいもんですから…あの階段ビールケースで作っておりまして私が上がったらメリメリってちょっと足がめり込んだもので…。ここ(高座)まで来られればもう大丈夫です」と。

初めて見た小んぶさん。
かわいい名前なので小さい方かと勝手に思っていたのだが、身長が187cm、体重100キロとおっしゃってたから、かなり大きい。
「怖いですか?いやよく言われるので慣れてますが」とおっしゃるけど、穏やかな雰囲気で全然怖くはないよ〜。

まくらではそんな「怖い見た目」で遭遇するあれこれ。
平日がらがらの電車に乗っていると、女の人がやってきて「すみません。ちょっとお願いがあるんです」。
何かと思えば、隣の車両に乗っている男に以前金を持ち逃げされたことがある。偶然会ったので今しかチャンスはないと思うが、女ひとりで言いに行くのは怖いので、知り合いのような顔をして付いてきてくれないか。
驚いたけど、ちょっと面白そうだしと思って「いいですよ」と付いていった。

女性がその男に向かって「私のこと覚えてますか?2年前に投資話を持ちかけてきてお金を持ち逃げしましたよね?」と言うと案の定「人間違いじゃないですか。知りません」とシラを切る男。
押し問答を続けていたのだが、その男、女性の後ろに付いている小んぶさんの存在に気づいたとたん「も、申し訳ありません」といきなり謝った。
3人で駅に降りて駅長室に行き「この人詐欺師なので警察を呼んでください」と言って、警察に電話をしてもらった。
何分かして警察がやってきて、いきなり小んぶさんの腕を掴んで「署にきてもらおう」。
あ、いや、私は詐欺師じゃありません…。犯人はあっちです…。

とりあえず名前と連絡先を書いてその場をあとにしてのだが、後日その女性から電話がかかってきた。
「本当にありがとうございました。お礼をしたいのでお会いできませんか」と言われ、いや別に何もしてないし付いて行っただけだしいいですよ、と断るのだが、相手はなかなか引かない。ムキになって断っていたら女性のほうが「はっ。この人ってやっぱりもしかして…」と思ったらしく、「失礼ですが、その筋の方なんですか?」。

…その筋ってなんだよ。お前だけは俺を信じないとだめだろう!
淡々と語るのがたまらなくおかしい。このまくらでもうすっかりすきになっちゃった。

噺は「そば清」。 声が良くてテンポが良くてとても気持ちのいい落語。ああ、さん喬師匠のお弟子さんなんだなぁ!という感じがありつつ、独自のおおらかさがあってとてもいい。
「どうも〜」とやってくるそば清さんと、店に入り浸る若い衆たちのやりとりが楽しい。

仲入後は「寝床」。 これがめちゃくちゃ面白かった。お店の主人の声ならしがもうたまらない。「ぐえぇぇ。ぐえぇ。」ってやるたびにツボで大笑い。
それでもどこか品があって憎めない主人がかわいい「寝床」だった。

落語会の後はみんなでお弁当を食べるっていうのがまた面白い。
途中から小んぶさんも席に加わって一緒にお弁当を食べるのがまた楽しい。
来ている方々はほとんどがお店の常連さんのようだったけど、話しかけてきてくれたり、「小んぶで検索して来た」と知ると「あら、じゃあもっと近くの席にいらっしゃいよ」なんて言ってくださってやさしい…。
いいなぁ、こういう会。楽しかった。