りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

文京シビック寄席 鯉昇・市馬二人会

10/25(金)文京シビックホールで行われた「文京シビック寄席 鯉昇・市馬二人会」に行ってきた。

・瀧川鯉津「牛ほめ」
柳亭市馬「らくだ」
〜仲入〜
・柳貴家小雪 太神楽
瀧川鯉昇「二番煎じ」

大好きな鯉昇師匠と市馬師匠の二人会って幸せすぎる…。しかも席も真ん中の二列目ってうほほーい!

鯉津さん「牛ほめ」。
「芸術協会にはナイツもコイツもいると覚えておいてください」とこなれたまくらから「牛ほめ」へ。
明るくて楽しい高座。

市馬師匠「らくだ」。
大好きな先輩との二人会でうれしいです、と市馬師匠。
万人に好かれる、しかも噺家仲間で噺家から好かれている人というのはそうはいないんです。本当に稀有な存在です。まずあの顔ね。暗闇で見たら「出たー」って言っちゃいそうな、一度見たら忘れられないあの顔ね。って先輩の顔についてとやかく言ってる場合じゃないんですけど。
そんなまくらから「らくだ」。

前から聞いてみたいと思っていた「らくだ」を市馬師匠で聞ける幸せよ。
乱暴者で長屋の嫌われ者だった「らくだ」と呼ばれる男がフグにあたって死ぬ。らくだが兄貴と慕っていた男が家を訪ねてらくだが死んでいるところを発見する。
せめて葬式の真似事でもしてやりたいと思うが一銭もない。
通りかかったクズ屋を呼び止めて家財道具を金に変えようとするのだが、らくだの家あるもので金になるものはありませんよとクズ屋はいう。
兄貴はクズ屋の商売道具を人質にとって、長屋の連中から香典を集めさせたり、大家を脅して酒と煮物を用意させる。
しみったれの大家が家賃を一度も払ったことがないらくだのために酒や食物を用意するわけがないというと、だったら死体を持って行って「かんかんのう」を踊るぞと脅せ、と言う。
本気にしなかった大家がそれも断ると、らくだの死体を担がされたクズ屋と兄貴が大家の家の行き、本当にかんかんのうを歌い踊る…。

強面の兄貴と気のいいクズ屋のやりとりが噺の中心なのだが、市馬師匠の兄貴は怖すぎなくてそこがいい。
また振り回されるクズ屋もそれをどこか楽しんでいるところがあって見ていて楽しい。
ここがあまりに強弱がありすぎると見ていて辛くなってくると思うのだ。
兄貴が怖いということを、クズ屋が「そんなに眉間に皺寄せないでくださいよ。ここ(首のあたり)に力入りすぎですよ。疲れるでしょ」と言って表現したり、使いに行っているうちに徐々に調子が出てくるクズ屋が「なんかだんだん楽しくなってきた」と言ったりすることで表していて、陰惨な感じが全くしなくてそこが好きだ。

立場が逆転してからも、クズ屋の人の良さが前面に出ていて楽しい。
またかんかんのうの見事なこと。
いいわーーー、市馬師匠の「らくだ」。大好きだ。

小雪さん「太神楽」。
柳貴家小雪って柳家とは違うの??どこの噺家さん??と思っていたら、太神楽なのだった。
女性の太神楽って初めて見たのだが、かわいいルックスで見事な芸だった。楽しい。

鯉昇師匠「二番煎じ」。
富士山、登山のまくらから「二番煎じ」。
これがもう楽しい楽しい。爆笑に次ぐ爆笑。

極寒の中、火の用心の夜回りに出かける旦那衆。月番が拍子木を打つ係、金棒を鳴らす係、「火の用心」と歌う係と割り振っていくのだが、みな寒がって横着をする。
拍子木の音が聞こえませんよというと着物の中で拍子木を合わせていたり、金棒が冷たいからと言って紐で結んでずるずる引きずっていたり、宗助に至っては提灯をまたぐらに入れている。
歌を歌えというと、浪曲のようにうなったり、また妙に色っぽく歌ったり。
ようやく一回りして番屋に戻ってきて暖をとる。
すると「実は娘が酒を持たせてくれた」だの「しし鍋を持ってきた」だのと言いだす者たち。月番は最初は「何を考えてるんですか」とたしなめるものの、酒を土瓶にうつして「これは煎じ薬といえばいいでしょう」とノリノt酒を飲んだり鍋を食べたりしていると、役人が様子を見にやってきて…。

見回りの時の歌のところがもう最に面白い。
鯉昇師匠が「えーーげほんげほん」と声ならしをするだけで、もうおかしくておかしくて笑いが止まらない。
また酒の飲むところ、鍋を食べるところがうまそうで、お腹がぐ〜っ。あーー私にもその酒まわして!と言いたくなる。
お鍋に座って汁がふんどしにしみてくる気持ち悪さ、役人が来るとやたらと「宗助さん」と宗助さん頼みになるところ、役人が遠慮なく酒を飲みしし鍋を根こそぎ食べるところ…細かなところがなんとも言えないおかしさに満ちている。

幕が下りたら隣に座っていた女の人が「お腹すいちゃった」とつぶやいていておかしかった。