りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場 9月夜の部 三遊亭天どん真打昇進襲名披露興行

9/25(水)、鈴本演芸場で行われた三遊亭天どん真打昇進襲名披露興行に行ってきた。 真打のお披露目に行くのは今回が初めて。いったいどんな感じなのかとワクワクドキドキ。
16時頃に鈴本に着いたのだが、すでに10人ほどの行列ができていた。ほんとにこれが行列?大丈夫?と不安を抱きながらもそこにふわっと立っていると、私の後ろにも続々と人が並び、支持者が付いたから大丈夫だろう、と安心する。

前の方に並んでいる人たちはお友だちも多いらしく、時間が進むにつれお仲間が増えていく。
ちょっと「なんだかなぁ」な気持ちになっていると、ひときわにぎやかな一団が先頭にいる人のところに来て写真を撮ったりしている。
ちっ!また割り込みかよ!と思って見たら、なんとご本人ご一行だった。
「この列なに?」「あなたを見るための列ですよ」「ぎょえー!」
…面白い。

・駒次「生徒の作文」
・小せん「黄金の大黒」
・扇家和楽 太神楽曲芸
・白鳥「アジアそば」
・志ん輔「夕立勘五郎」
・ホームラン 漫才
・円丈「金さん銀さん」
・さん喬「天狗裁き
・三三「看板のピン」
〜仲入り〜
・真打昇進披露目口上 さん喬•円丈•志ん輔•天どん
・二楽 紙切り
・白酒「だくだく」
・小菊 粋曲
・天どん「巣鴨のうわさ」

のぼりがあったり提灯が飾ってあったりロビーでは天どんさんの手拭いや披露目公演のチケットを売っていたりして、普段の寄席とは違った雰囲気だ。

駒次さん「生徒の作文」。
いきなり出てきて新作ってやりづらそうだけど、堂々としていてなかなか。
駒次さんは成城ホールの天どんさんのお披露目でも見ているのだが、面白い!
やくざの家の子どもの作文。「僕の家では奥の部屋からチョウ!ハン!という声が聞こえてくるので、多分中華料理屋なんだと思います。半チャーハン…」「庭では花も育てています。僕が一番好きなのはけしの花です」
お年寄りにもわかりやすい新作で、しっかり笑いをとっていた。

小せん師匠「黄金の大黒」。
小せん師匠を見るのは初めて。「みなさん最初からそんなに一生懸命聞いてたら疲れますよ。これがあと4時間続きますから。リラックスしてぼーーっと聞いてください」。
優しさが伝わってきてなんかにこにこしてしまう。
「黄金の大黒」もおめでたい噺で、お祝いムードを盛り上げる。いいなぁ…。

白鳥師匠「アジアそば」。
大きな拍手で迎えられ「この拍手は天どんまで取っておいてください」ってめずらしく大人な発言!と驚いたら、「天どんが鈴本でトリをとるのはきっとこれが最初で最後でしょうから」。
いつものように鈴本でトリをとっておじさんに怒られたというまくらから「アジアそば」。どっかんどっかんうけていた。

志ん輔師匠「夕立勘五郎」。
「夕立勘五郎」は前に落語研究会に行った時に見て大いに笑ったのだが、何度見てもいいなぁ。ばかばかしくて楽しくて大好きだ。
客席も大爆笑に包まれて、とてもいい空気。

円丈師匠「金さん銀さん」。
ここまで作り上げたお祝いムードをぶち壊し?陰気なまくらに、ネタはよりにもよってすでに亡くなっている「金さん銀さん」。すごいな、ここの師弟関係は。わはははは。

さん喬師匠「天狗裁き」。
さん喬師匠のおかみさんって本当に女にしか見えないのがすごい。おばさんぽくてかわいい。
繰り返しが面白い噺なので、噺が進むにつれて笑いがどんどん大きくなっていくのが楽しい。
円丈師匠でアナーキーに傾いた雰囲気をまたきちんとお祝いムードに戻した感じ。

三三師匠「看板のピン」。
会場を見まわして「今日も天どんファンの美しい女性がたくさんいらしてますね。天どんファンはきれいで幸薄そうな人が多いですね。なぜ?という私の疑問にさん喬師匠がこたえてくれましたね。”蓼食う虫も好き好き”と」。

仲入り後は口上。
左から志ん輔師匠、天どんさん、円丈師匠、さん喬師匠と並び、志ん輔師匠が進行役。
さすがのベテラン揃いで成城ホールの時よりはぐだぐだではなかったけど、志ん輔師匠がさん喬師匠のことを「さんゆうてい…じゃなくて、柳家さん喬」と言い間違えたり、それをさん喬師匠がしっかり拾って「三遊亭柳家さん喬です」と言ったり、さすが噺家さんだ。
笑いながらも少しだけ厳粛なムードもあり、とてもよかった。じーんとした。客席の雰囲気もあたたかくてとてもよかった。

白酒師匠「だくだく」。
「今の会長は小三治ですから。実力のある者しか真打にあげないと宣言してますから。それで真打になったということはものすごい価値があることです。それで天どんが真打…。…ご乱心?」と相変わらずの毒舌。
とにかくこの「だくだく」が楽しくて楽しくて最高だった。もともと大好きな噺なんだけど、どんどん勢いにのっていく白酒師匠が繰り出す「つもり」技の数々が最高で、客席も最高潮に盛り上がった。

天どん師匠「巣鴨のうわさ」。
ついに天どんさんが師匠に!それをこうやって生で見られるというのは凄いことだなぁ。来てよかったなぁ。
登場すると大きな拍手と歓声。すごいなぁ、この雰囲気。感動だ。
さすがにいつもふてぶてしい天どん師匠も緊張気味。なんとかして自分のペースに戻そうと頑張っているのが印象的。
このお祝いムードの中「巣鴨のうわさ」っていうのも面白い。

真打お披露目ってこんなに楽しいものだったとは。
この後も何回か行くつもりでチケットを買っているので、楽しみ!