りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場9月上席夜の部 ほほえみ残暑見舞い 白酒の裏切り〜おはよう新作、おやすみ古典〜

9/6(金)、「鈴本演芸場9月上席夜の部 ほほえみ残暑見舞い 白酒の裏切り〜おはよう新作、おやすみ古典〜」に行ってきた。
白酒師匠が古典を封じて新作に挑むというこの企画。行かないわけにはいかないでしょう!

ロケット団「漫才」
柳家三三「釜泥」
林家彦いち「長島の満月」
〜仲入り〜
・アサダ二世「奇術」
・蜃気楼龍玉「強情灸」
林家正楽紙切り
桃月庵白酒「名もなき草」

会社帰りに行ったので着いたのは18時40分ごろ。
ところで鈴本に向かう地下鉄で私の前に座ったのが三三師匠だったのだ!
ひょいと顔をあげたら目の前に三三師匠が座っていて思わず目が点に。息を飲んで凝視していると、なんか気づいたのか?ちょっとこちらをちらっと見た三三師匠。
話しかけたかったけどそんな勇気もなく、ストーカーみたいになったら申し訳ないと思い、駅に着いてからすたこらさっさと早足で歩いて先に演芸場へ。
エレベータを待っていたら三三師匠が入ってきて、おおっ今度こそ話しかけてみるか?!と思ったら、階段を上がって行っちゃった。あーあ…。

帽子をかぶっておしゃれな三三師匠は確かに落語家には見えなかった。
それでも目つきが妙に鋭くて唇も厚くて「フツウ」ではない感じで異彩を放っていた。

ロケット団 漫才
いつも通り二人のなれ初めに4文字熟語にヒーローインタビュー。
癌の告知ネタは初めて見たな。
いっこく堂さながらの遅れて喋る技、すごくないか?!あまりの芸にあっけにとられて拍手するのを忘れた!
一番面白かったのがちょいちょい挟む「きこりの俺」。
「きこりの俺がインタビュアー?」「え?きこりの俺にそれをやれって言ってる?」 こういうセンスがたまらない。

三三師匠「釜泥」
ああやっぱりさっきの人だよ。うおおお。
まくらでは学校寄席の話。小学校の低学年、幼稚園で落語をやることもあるのだが、案外これぐらいの小さい子は素直に噺を聞いてくれて笑って楽しんでくれる。
しかし始める前に落語の約束事を話しておかないと、そこらへんは理解してくれない。 まくらを普通に話していていきなり「おい、はっつあん」と落語に入ると、子どもたちは誰か来たのかとほぼ全員が後ろを向く。
「こんちは、ご隠居さん」と言うと、子どもたちは素直に声をそろえて「こんにちはーー」。

「釜泥」、面白かった!
亭主を鼻であしらうおかみさんがいい。

彦いち師匠「長島の満月」
まくらで盛り上がったらそれで済ませちゃおうか?というような迷いがあったのか。何か中途半端な印象。

龍玉師匠「強情灸」
前に道楽亭に行った時、私の前に並んでいたおじいさんたちが「雲助の弟子はみんないいねぇ」「特に最近龍玉がいいんだよ。すっごくいい。ぜひ見てほしい」と話していて、気になっていたのだ。
さらに雲助師匠が自分の掲示板で龍玉師匠がトリをとることを告知していて、その文章が実によくて…。秘蔵っ子を見て見たかったのだ。

まくらもなく「強情灸」に入ったのだが、姿もいいし声もいいしきれいな噺家さんだなぁ。
そして1つ1つのしぐさや会話がきれい。雲助師匠に似ている気がする。
灸がいかに熱かったか自慢げに語る男と、それを聞いて「こんちくしょう!」とその上をいこうとする男。
意地の張り合いがかわいらしく、楽しかった。良かった。

正楽師匠 紙切り
ミニーマウスに思いのほか苦戦。一度紙に置いてみて「あ、だめ。やっぱり。やりなおそ」と言って微修正を加えたのが面白かった。

白酒師匠「名もなき草」
待ってましたの白酒師匠。
まずはなぜこのような企画になったのかの言い訳。
こんなに言い訳がましい白酒師匠は初めて見たぞ。それだけで来た甲斐があったというもの。

「今日初めて寄席に来たというお客様、初めて私を見るお客様には申し訳ございません。私、古典はちゃんとしてますから。今日ははずれだったということでご勘弁ねがいたい。そのかわり、これでもか!とメンバーを充実させてますから。権太楼をあんなに早い時間に出すという暴挙」には大爆笑。

「名もなき草」は噺は前座時代に作った新作らしい。
初めての三者面談に緊張する新米教師。それを木になったり黒板になったりしながら見守る校長。
面談に来た男子生徒はくの一になりたいと言いだして、教師は動揺する…。
ところどころ言い間違えたりしてがちゃがちゃした印象。やー新作って難しいんだねぇー。

めったに見られないものを見られて大満足だったけど、やっぱり白酒師匠は古典がいいなぁ。
でも平日の夜で毎回かなりお客さんが入っていたらしいから、いい企画だったんだなと思う。

白酒師匠の「つる」。こんなに面白くない噺をこんなに面白くできるなんて!