りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

立川流日本橋亭

8/21(水)、お江戸日本橋亭で行われた立川流寄席に行ってきた。
あまりなじみのない立川流。見に行くのは志の輔師匠ぐらいだったのだが、この間喬太郎師匠の番組で出てきた左談次師匠がとても素敵だったので、左談次師匠目当てに行ってきたのである。
日本橋なんてほとんど行ったことがないものだからえらい迷ってしまった。駅から2分というとてもわかりやすい場所だったのに。最近方向音痴が悪化している…。これも老化現象なのだろうか。
始まる前にランチでも…なんていう野望もあったのだが、たいして時間もなく、仕方なくコンビニでおにぎりを買って会場で食べることに。

・春樹「真田小僧
・春吾「持参金」
・吉幸「蜘蛛駕籠
・談慶「禁酒番屋
〜仲入り〜
・志の八「粗忽の釘
・左談次「幇間腹
・志遊「抜け雀」

お客さんは全部で30名いるかいないか。
寄席というよりアングラ系のお芝居を見に来ているような雰囲気にちょっとびびる。どきどき。

春樹さん「真田小僧」。
お客さんがね、くすりとも笑わないのだよ。
ここはそういうルールなのか?と思うほど。笑いに来てるから笑いたいんだけど、こうも堅い空気だとさすがに…と思っていたのだが、後半少し笑い声が聞こえてきて、ああ笑ってもいいのね…とほっとする。

春吾さん「持参金」。
会場に何名か若い女性のお客さんがいたので、もしやイケメン落語家がいるのでは?と思っていたら、おおお…これは今まで見た中で一番ハンサムな噺家さんだ。俳優といってもうなづけるぐらいの爽やかハンサム。なんだこの透明感は。

まくらでは師匠の談春師匠の話。
おお、談春師匠のお弟子さんなのか。こはるさんも透明感のあるきれいな噺家さんだし、談春師匠のところにはきれいな噺家が集まるのか?本人はむむむなのにムムム…。

自分が前座の頃はまだそれほどSUICAなども出回っていなかったので小銭を出して切符をその都度買っていた。
談春師匠はとても厳しいので、とにかく師匠の動きを注視して次に何をやるか瞬時に判断し、師匠の動きを止めることなく手伝わなければいけない。
駅に近づいて師匠がポケットに手を入れたら、ささっとお金を受け取って切符を買ってきて、師匠に切符と小銭を渡す。
しかしこのタイミングを間違えて10円玉が落ちてしまった。
談春師匠はえらい怒って「お前はもうくびだ」と言って、自分が持っていた荷物をさっととりあげて一人で電車に乗ってしまった。
その日の夜師匠の家に伺って平謝り。「お前は何でも自分のタイミングでやろうとする。そうじゃなくなぜおれの気持ちになることができない?」そう叱られて謝りに謝って家に帰った。帰ってから小銭をタイミングよく渡すおけいこまでした。
ところが次の日も同じ失敗をしてしまった。
もうこうなってしまうと小銭が怖くて仕方ない。10円玉を持つと手がぶるぶる震える始末。すっかり小銭恐怖症です。でも小銭じゃないお金は好きです。

噺の方は「持参金」。これがとても面白かった。
まくらは少したどたどしさがあって聞いていてドキドキしたのだが、噺に入るとリズムもよくて愛嬌があって面白い。
この噺は以前鯉昇師匠で見たことがあるのだが、春吾さんの「持参金」のお嫁さんはすごい。
なぜなら口がどこにあるのか見つからないのだ。だけど確かに声は発してる。口があるべき場所に口はないのだが、ほっぺたのあたりにふたのようなものがあってぱくぱくしている。「それが口じゃないですか?!」
またひじがないから腕が曲がらないのだがその分ひざが4つある。
ここまでいくと人間ではなく化物だって。
でも爽やかハンサムに言われるとそんなに意地悪く聞こえなくて漫画みたいで面白い。楽しい「持参金」だった。

談慶師匠「禁酒番屋
談慶師匠が出てくると「待ってました!」と声がかかった。
おお、待ってましたと言われるほど面白いのか?と期待が高まる。
立川流噺家さんはよく本を書くというイメージがあるのだが、この方も最近本を出していて結構売れているらしい。

噺は「禁酒番屋」。
ところで前方に座った男女が談慶師匠のファン?あるいは知り合いか?地声で喋ったり内輪っぽい笑い声をあげているのがなんか途中から妙に気になってしまい、噺に集中できなくなってしまった。 途中で男の方が立ち上がって出て行ったかと思ったら戻ってきて地声で話をしていたりして、なになに?応援しにきてるの?それともまさか嫌がらせにきてる?悪気はないけど無神経なだけ?
談慶師匠が悪いわけではないけれど、なんだか集中できずあまり印象がよくなかった。

志の八師匠「粗忽の釘
志の輔師匠の2番目のお弟子さんらしい。
大好きな噺なんだけどなにせこの間小三治師匠の「粗忽の釘」を見たばかり。ついつい比べてしまい、物足りなさが残った。

左談次師匠「幇間腹
とても楽しかった。
たいこ持ちの一八が話を聞いては「よっえらいっ!」といちいち持ち上げるのがなんとも気持ちいい。
そしてさりげなく「ハルク・幇間」と、え?と驚くようなくすぐりが入る。
吸引力がものすごく強いので、それまでなんだか気になっていた無粋な客もまるで気にならなくなった。
見に行った甲斐があったなぁ。もっと見てみたい!という気持ちを強くした。

初めての立川流寄席だったのだが、いろんなタイプの噺家さんがいるのだな、と当たり前のことだけど改めて気づいたのだった。
立川流にはちょっと苦手意識があったけど、また行ってみたい。