りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

百栄一之輔 百夜一夜落語会 第二回

7/11(木)、成城ホールで行われた「百栄一之輔 百夜一夜落語会 第二回」に行ってきた。

・一力「転失気」
・一之輔「かぼちゃや」
・天どん「タラチネ」
・百栄「天使と悪魔」
〜お仲入り〜
・百栄「浮世床
・一之輔「船徳

一力さんはこれで何回目だろう。喋り方がきれいで素直で気持ちがいい。
いかにも小坊主って感じで、この噺は合っていると思った。

一之輔師匠の「かぼちゃや」。
くすぐりを封じられた昨日の鬱憤を晴らすかのような弾けっぷりが楽しい。
通りすがった若旦那の唐茄子やに「そっちの方には行かないほうがいい。そっちには貧乏人が多いから。そうそう、そっち入らないでこっちの方角に…その方がいいよ」と声をかけた後に「歴史を変えてやったぜ!」。

天秤をかついだまま路地に入って動けなくなったら得意の顔芸。
親切な親方がかわりにかぼちゃを売ってくれてる間、おじさんに言われた通り、上を見てる。
帰ってきて「上を見たのか」言われて「ああ、見てたよ」。「じゃその分(利益)を出せ」と言われて、「あおいそらーーしろいくもーー」。

いろいろ考えてメリハリつけて過剰になったり禁欲的になったりしながら噺家さんというのは成長していくものなのね…としみじみ。

そして急きょ?ゲスト参加の天どんさん。
真打披露目のチケットが売れ残っているから売りつけに来たと昨日と同様。
落語やらないで帰るのもなんなのでと「タラチネやりますよ。これよくやられる噺なんですけど、どういう噺かっていいますと。」

先にオチまで言っちゃうの?と驚いていると、天どんさんの鶴女は金髪のガイジンさん。
言葉が丁寧な上にジャパニーズイングリッシュ混じりで、ますます訳が分からない。
投げやりっぽくやっていたけど、いやいや面白くて大爆笑。

そして久しぶりの百栄師匠。テイトミュージックの独演会以来だ。
ニコ動で聞いたことがある「天使と悪魔」。
舞い降りてくる天使のかわいさと、悪魔の悪さがおかしい。そしてちょいちょい挟まれる恨み節なんだけど、不思議と嫌らしくなく楽しい。

仲入り後の百栄師匠はなんと「浮世床」。
前に三三師匠で将棋のところを聞いたことがあったんだけど、百栄師匠は貸本を読んでいるところ。
「姉川の合戦」を読んでいるという吉公にみんなが読んでくれと頼むと、嫌がる吉公。 そう言わずに頼むよ、みんな聞きたいんだよ、と言うと、「じゃ読んでやるけど、俺のは早いよ。みんなついて来れないんじゃないか。しかも俺は一度読んだところは二度と読み直さないよ。とにかく早いから。ぴゅーーーっと読んじゃうから」。
そして読み始めると、「ここここここ、まっこ…まっこ…まっこう…まつこう」
「あいよ、なんだい?」呼ばれたかと思って松公が返事をする。

もうこのたどたどしい読みがツボすぎて笑いが止まらない。
たどたどしいをやらせたら百栄師匠の右に出るものはいないんじゃないかしら。
貸本の後は寝ている男を起こすくだり。これが案外ちゃんと「古典」なのがまたおかしい。

トリは一之輔師匠の「船徳」。
船徳」と分かると、おじいさんたちがなんかうれしそうに「船徳だ」「うおー」。
なんかこの噺好きな人が多いのね…。

一之輔師匠の「船徳」の若旦那はちょっと凶暴。若旦那っぽくないかなー。
なんとなく風流さが足りないような…そこがまた面白いような…。

爆笑につぐ爆笑で楽しい会だった。
幕が下りたあと、隣に座っていたおじいさんがまだ笑いが止まらずにいて「ああ、楽しかった」と言ってこちらを見るので、私も思わず「楽しかったですね!」。
おおおっこのまま友だちになっちゃうか?!飲みに行っちゃうか?!ブログ教えあっちゃうか?(噺の間真剣にメモをとっていたので、ブログを書いてるのではないかと勝手に想像)と一瞬ドキドキしたけど、そのままおとなしく帰ってきたのであった。あーーちょっと残念だった、な。